LINEが大赤字を計上しました。
LINEの2019年1~6月期の連結決算は266億円の赤字でした。
原因は取りも直さず、LINE Pay普及のためのバラマキキャンペーン「300億円祭」
当サイトですでにお伝えしていますが、QR決済は今はさながら顧客獲得戦争の真っ最中なのです。
仕方がなかったとはいえ、大変なものに手を出したという様相になってきました。
すでにシステムの脆弱性が露見したSeven Payを投入したセブンイレブンは撤退を表明しました。
早めに損切りするのか、意地で勝ち残り戦に居続けるのか?
戦い続ける勝算はあるのか?
LINE のコミュニケーションサービスが好調なだけに、なおさら気になります。
さて、LINEの現状はどうなっているのか?現況と今後を占いましょう。
LINE対Softbankグループ
もともとLINEはコミュニケーションサービスの一環として、支払い代行サービスを実施していたのです。
他の企業がやらなかった、地方自治体の公共料金支払いなどがLINEアプリでできて、随分助かりました。
それに加えてLINE Payでさらに勢力拡大を図ったLINE。
しかし、それをSoftbankが黙って見ているはずがありません。
もともとYahooで公共料金の支払い代行で先行していたのはSoftbankグループ。
将来の需要も見込み、さらにグループ企業のアリババが中国市場のQRコード支払い市場を支配したこともあり、日本市場支配を目指してSoftbankが市場参入してくることは想像に難くなかったはずです。
ばらまきキャンペーンで市場参入してきたPayPayに対抗して、LINEもばらまきキャンペーンを実施せざるを得なくなったのは、言うまでもありません。
しかも300億円。
PayPayはその財力に任せて、市場を支配して独断場になるまで、手を緩めないでしょう。
LINEがそれに対抗して戦い続ければ、体力に劣るので、いずれ破れるのは必至です。
では手綱を緩め、出澤社長曰く「もうあのような大規模なキャンペーンは実施しません」となれば、シェアを取れない可能性が高まります。
2019年7月現在、MMD研究所の調べでは、QRコード決済のシェアは、PayPayが27.7%, LINE Payが21.6%, 楽天Payが20.2%となっているようです。
ヤフオクやYahoo Shoppingと関連づけられるPayPay。
楽天市場や証券などと関連づける楽天Pay。
そう考えると、LINEはコニュニケーションサービスやLivedoor blog, NEVERまとめなどコンテンツビジネスが主力。支払いサービスとの相乗効果という点では上記二社に劣るように思えます。
LINEの現況
LINEは韓国の(NEVER)という企業の100%子会社として2000年に日本で設立されています。
その後、2016年に、ニューヨーク証券取引所と東京証券取引所に上場して資金を得ています。
2019年6月30日現在、現金及び現金同等物で226,038百万円を有しています。
これは、2018年12月から30,940百万円の減少。
ただしこれだけの流動資産があれば、当面問題にはならないでしょう。
ちなみに、 Softbankグループの現金及び現金同等物は3,858,518百万円と、LINEの17倍を計上しています。
楽天の現金及び現金同等物は1,256,926百万円とLINEの5.6倍です。(もっとも、楽天は銀行を持っていますので、そのままこの金額が資産とは言えませんが)
こう見ると、LINEは戦力的に相当厳しい戦いを強いられそうだと考えて良さそうです。
勝負の決着は、キャッシュレス・消費者還元事業
出典:経済産業省発表の事業PR資料
雌雄を決するのは、2019年10月から、2020年6月までの9ヶ月でしょう。
ここで敗れた企業はQRコード決済事業から撤退か、細々と続けざるを得なくなります。
キャッシュレス・消費者還元事業とは、政府の施策です。
政府が費用を補助して消費者にポイントを還元させる。
さらに中小企業の負担ゼロで端末を導入させ、キャッシュレス化を推進する。
これは消費税導入による消費の落ち込みを防ぐ目的と、お金の流れを政府が捕捉するためのツールになる。
いったんキャッシュレス決済を普及させてしまえば、その便利さに慣れた消費者はその後も使い続けるでしょうし、中小企業もやめるわけにはいかなくなります。
たとえ、その時に中小企業が手数料を取られるようになったとしてもです。
ある意味恐ろしい深謀遠慮ですねー。
かくして、現金商売は激減して、政府は確実に税金を徴収できるようになる。
QRコード決済戦争に勝った企業はビッグデータを入手できて、より消費者に選ばれる商品開発ができるようになる。
消費者は?
賢い消費者は、よく吟味して本当に価値のある支払い方法を選ぶでしょう。
現時点ではどれが一番良いのかはわかりません。
何も考えていない消費者は、それでも損することはない。
便利にはなります。
財布を落として、お金だけなくなった、ということも少なくなるでしょうね。
まとめ
Fin tech, IT, AI, これらは当面とどまるところを知りません。
情報アンテナをしっかり貼って、乗り遅れないように!
政府の思惑に乗って各社が殺到しているキャッシュレス化への道。
消費者にとっては便利になります。クレジットカードを持てない人たちもQRコード決済なら、キャッシュレスで支払いができるようになります。
一方、よく考えないで QR コード決済をすると、クレジットカードなどでポイントやマイレージを貯めてる人にとっては損をすることになります。
消費者にとってはPay PayであってもLINE Payであっても、どちらでも構わないのです。
便利でお得に支払いができればそれでいい。
どの企業のPayが生き残るのかはわかりません。
いずれにせよ、本業が揺るがない程度に頑張って欲しいと思います。
たとえLINEが戦いに敗れたとしても、LINE自体が使えなくなることはないでしょう。
なので、高みの見物といきましょう!