今回物騒なニュースが飛び込んで来ましたので、早速調べて見ました。
複数の報道によると九州電力が太陽光発電の停止要求を実施する可能性が高まってきたとのこと。
九州電力の池辺社長は記者会見にて以下のように述べています。「秋にも電力の供給状況によって太陽光・風力発電事業者に稼働停止を求める出力制限が必要になることもある」
どうも信じ難いことですが事実のようです。
国を挙げた事業。クリーンエネルギーの普及を推進していたはず。100%買取であることを信じて太陽光発電事業に進出した事業家たち。
余剰電力を販売することを前提に太陽光発電装置を設置した家庭。
公に報道はされていませんが、実は現場では今大変なことが起こっているのです。
電気の需要を超えて供給が増えてしまうと、電気の周波数が変動して大規模な停電を起こしかねない。
仕方がないので太陽光・風力発電事業者に稼働停止を求める、との見解です。
つまり、電力供給が多すぎるということですが、
九州電力は現在原発を再稼働させ4基体制で発電しています。
ご存知のように原子力発電は一度稼働させると停止させることが難しいのです。火力発電は公害のもとになっており廃止の方向ではありますが、
とても安く電力を発電できるのです。
今回対象の太陽光及び風力発電は要求するだけで停止させる事ができる、手軽な対応です。
さてこれはいったい何を意味しているのでしょうか?そして現場ではどのようなことが起こっているのでしょうか?
現況をよく知る太陽光発電及び風力発電事業の販売会社にインタビューしてみました。
太陽光発電及び風力発電の停止要求とは、発電を停止させること
まず興味のある所は、そんな簡単に発電を停止することができるのかどうか?
それから100%買取が保証されているはずの売電収入がどうなるのかということです。
結論から申し上げます。
太陽光発電などの発電装置は簡単に停止できます。
停止をするということは発電しないわけですから、その間の売電収入はなくなります。
太陽光発電などはパワコンと呼ばれる装置を使って発電しています。
つまりそのパワコンの稼働を止めれば発電は止まります。
パワコンの稼働は、現地にて手動で停止させるか、遠隔装置にて停止させることになります。
現地でパワコンを停止させるのであればその電源を落とせば停止させることができます。
ですが直前に連絡を受けた事業者が翌日に現地に赴いてパワコンの電源を落とすということが現実的でしょうか?
個人投資家として太陽光発電を営んでいる方もいます。そのような方達は必ずしも近くに住んでいるわけではありません。
つまり実質上、手動でパワコンの稼働を停止させることは不可能に近いと言えるでしょう。
従って現実的には遠隔装置を使ってパワコンの稼働を停止させることになります。
これは、事業者自らでも、電力会社でも遠隔操作できます。。
太陽光発電の現場で起こっていること
状況に詳しい業者によると、昨年来、九州電力や四国電力は事業者に対しこの遠隔装置の設置を要請しているそうです。
その通知を受けた事業者等は、「一体何のことだと」大騒ぎになったているとのこと。
太陽光発電装置を設置した投資家たちには、契約時に電力供給状況によって停止要求が出される可能性があることは通知されていました。
しかし、販売業者等はそれを正確に伝えず、また遠隔装置を設置せざるを得なくなることも通知していなかったことが少なからずあったようです。
現在、この状況を受けて音信不通になっている販売業者も出てきているようです。
つまり九州電力管轄の太陽光発電の事業者たちにとっては、「昨年来の停止要求の可能性」ということはある意味寝耳に水だったのです。
遠隔装置への追加投資を余儀なくされ、それを設置することで自ら売電収入を断つことになります。
すでに融資を受けて発電事業に進出した人達にとってはたまったものではないでしょう。これは今計画している太陽光発電装置に対する措置ではありません。
すでに稼働している太陽光発電に対する買取拒否なのです。
この事態が予測できていたにも関わらず、九州電力はすでに4基の原発の稼働をさせています。需要と供給が合わなくなれば大停電が起きかねないとなれば、どこかの発電を止めなければなりません。
電力会社としては最も利益率の悪いものを停止させるという選択になるのでしょうか。太陽光発電などからの発電が、九州電力の裁量にて停止させられることになります。
契約は契約。
たとえそうだとしても、100%買取を信じて投資した事業者等は、今後大きな痛みを味わうことになってしまいそうです。
なぜこのようなことが起こってしまったのか?
出典:資源エネルギー庁
上記資源エネルギー庁の資料の資料です。
再生可能エネルギーはもともとコストがかかるエネルギーです。しかしクリーンエネルギーの導入を目指し、国としてその普及を図ってきたはずです。
相応の事情がある場合に停止要求が出ることを理解していた人はいるでしょう。ですが、もしもそれが電力会社の利益のためであり、その結果として売電収入が途絶えるというのでは、話が違うというクレームもでるでしょう。
しかもその元が、原子力発電の再稼働ということであればなおさらです。国は、原子力発電に再度舵を切ったのでしょうか?
電力会社の自己都合で買取が停止されるようなリスクの高いものであれば、だれも投資しなかったしょう。
電力供給が過剰だということであれば、経済産業省はなぜ過剰なほどの太陽光発電を認可したのでしょうか?
なぜ九州電力の原子力発電所の再稼働を認めたのでしょうか?
太陽光発電の停止要求は九州電力にとどまらず
現在新聞等が取り上げているのは九州電力による太陽光発電の停止要求です。
ですが九州電力の様子を虎視眈々と観察し、その実施後すぐに後を追う可能性があるのが四国電力です。
四国電力もすでに再三遠隔装置の設置を事業者に要請しています。
太陽光発電の停止要求を実施しない電力会社は三社だけです。
東京電力、中部電力そして関西電力です。
これら三社は太陽光発電事業者との契約において将来の停止要求を条件としていません。なので実質上、停止要求ができません。
契約通り、決められた単価で決められた期間、全量買取することになります。
このように全量買取ができる電力会社がある一方で、需給のバランスが崩れたことを理由に買取を拒否する電力会社が存在するというのが現状です。
太陽光発電の余剰電力買取が電力会社に義務つけられたのは2009年です。環境を考えた国を挙げての施策だったはずです。
2009年から現在2018年、約9年間、計画的にインフラを管理できなかったのでしょうか?
今後、電力会社と国、事業者の間で大きな紛争は避けられそうにありません。