スマートデイズとスルガの蜜月|見えてきた真相

時事
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スマートデイズの問題がますます深まってきました。

以前にも投稿しましたが、

カボチャの馬車運営会社スマートデイズ 事実上破綻
カボチャの馬車運営会社スマートデイズ事実上破綻ニュースが飛び込んで来ました。ベッキーさんのコマーシャルを流していたカボチャの場所というシェアハウスを運営している最大手、スマートデイズが事実上破綻しているとのことです。先日オーナー向けの説明会...

この問題はとても根が深いもののようなので、再度投稿します。

rawpixel / Pixabay

スマートライフ、スマートデイズという怪物

そもそもこの案件は、前科のあるビデオ安売り王の創業者佐藤◯◯という人物が創業者であるスマートライフというシェアハウスの賃貸業に端を発しています。

賃貸業を行なっていたシェアハウスが非合法だということで、それならばと合法のシェアハウスを運営して事業を営むこととにしました。その時点では詐欺まがいのことをするつもりはなかったのかもしれないですが、詳細は不明です。合法寄宿舎ーかぼちゃの馬車の始まりです。

コンセプトは地方に住む女性に東京での仕事を斡旋して、住居も斡旋する。
地方の女性なので東京に住むことや仕事をすることに不安があるだろうから、地方にて説明会を開催して住居人を募集してシェアハウスに住まわせるというものです。

また、仕事に関しては当時就職斡旋の大手、アデコと提携していました。後にその提携は解消され自ら斡旋業の免許を取ったようですが、実際には斡旋はほとんど行われていなかったようです。就職斡旋については就職が成功すれば年収の20−30%がアデコのコミッションとなるはずなので、そのうちの幾らかをキャッシュバックさせるという構図です。また、かぼちゃの馬車に居住中には様々な企業のアンケートに参加することを義務付け、その手数料をスマートライフが得、それを保証や地にに当てるという触れ込みでした。

このビジネスモデルにより、多少の空室が出ても十分な収益を上げることができ、30年の長期家賃保証をしても問題はない! 地方の女性の上京を助け、首都のますますの発展に貢献できる、このようなキャッチフレーズにて投資家を募っていたようです。
オーナーの中には30年保証家賃など信じられないけれど、これらスキームとスルガ銀行が融資を全面的に推しているとのことで購入を決めた人もいるようです。

当初からこのようなコンセプトであったかどうかは不明ですが、当時シェアハウスがテレビで放映されたこともあり、順調に業績を伸ばして行きました。

しばらくして、代表取締役社長は佐藤氏からMDI出身の大地氏に交代となりました。事の詳細は不明ですが、前科がある佐藤氏ではこれ以上業容を拡大するには問題が生じるとの判断であったとか、そしてその頃から詐欺的手法に切り替わって言ったとか、の憶測が飛び交っています。佐藤氏が代表であったことに懸念を持った投資家達には、2020年前後のIPOを目指しており、その際の障害になる可能性があるので退いた、大地氏はMDIでも優秀なセールスパーソンであり、この会社の代表として適任であると説明していました。確かに業績は順調な右肩上がりであり、外から見る限りは勢いのある会社と映ったに違いないでしょう。

しかし内情は全く異なっていました。日に日に自転車操業の様相は激しくなり、保証家賃を支払うために、さらに多くの物件を販売せざるをえなくっていきました。いつのまにか就職斡旋のアデコとも提携を解消して、自ら斡旋するように喧伝していましたが、実際には斡旋業は名ばかりでほぼ稼働していなかったと、元社員が証言しています。

提携企業とのアンケートやイベント参加による収入などは絵に描いた餅、それどころか、終盤には住人のほとんどがアジア系外国人であったようです。なりふり構わない営業ぶりですが、その割には入居率も振るわず、全体で30%程度、管理も行き届かず苦情が多かったと聞きますが、

驚いたことに、その管理会社は社長の大地氏の父親に設立させて、スマートデイズから資金をせっせと流出させていたとの情報も。家賃を支払うために物件を販売していたという抗弁で、詐欺にはならないのかもしれませんが、崩壊しているビジネスモデルをプロモーションして、挙句にタレントのベッキーを使いCMまで流していたのですから、知らないことをいいことに販売を強化した詐欺的商法。法的詐欺罪は適応されなくても詐欺と言われても仕方がないのではないでしょうか。

法的に詐欺にならず、投資家からお金を吸い上げる手管はさすが佐藤氏と言わざるをえないですね。この状況下で投資家の一部はスマートデイズや販売会社を相手取って損害賠償請求をかけましたが、スマートデイズはすでに資金が尽きた出がらしなので、ないものは払えない、という想定通りの結末となってしまうのでしょうか。

スマートデイズは悪事を働いたと言えるのではないでしょうか?会社はもちろんのこと、佐藤氏や大地氏、それに加担した販売業者は罪に値するのではないでしょうか?

ですが、もともと巧妙に仕掛けれた罠、簡単に尻尾は出さないでしょう。投資家から訴えられることも想定済みであったのではないでしょうか。それでも、看過できない怒りを覚え訴訟する投資家、訴訟に勝っても取れないお金、いかにも計画的な事件ですね。投資は自己責任という風潮がありますが、案件が詐欺であるのなら、それは許容リスクを超えています。投資家に同情せざるを得ません。

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スルガとの蜜月

実は、スルガ銀行はスマートデイズの取引銀行ではなかったのです。スマートデイズとスルガ銀行の蜜月はいつからなのかは不明です。しかし約800棟、1000億超の融資をしているにも関わらず、スマートデイズの取引銀行には名前を連ねていなかった。スルガはあくまで投資家に対する融資を一手に引き受ける銀行という立場を取っていたのです。寧ろここに何か違和感を感じるのは私だけでしょうか?

スマートデイズの案件はほぼ全てがスルガ銀行による融資でした。当初はスルガ以外の融資での購入者もいたようですが、しばらくしてからはほぼ一手に引き受けていました。融資を得た後に借り換えを申し入れると、裏でスマートデイズにプレッシャーをかけて家賃保証を解除させるとして、融資借り換えを阻止したとの情報も入っています。

それは何を意味するのか?不動産投資の融資については地方銀行を始め大手銀行までもがこぞって参戦しています。しかし、シェアハウスに融資する銀行は多くないのです。シェアハウス融資への実績がないため将来を読みづらく、融資に値するかどうか判断が難しいからです。

しかし、スルガは難点?のある案件にも果敢に融資することでも有名です。その代わり金利が高い。本件においても、3.5-4.5%の金利で融資を受けている投資家がほとんどです。

1億2億の物件に対しての新規の貸し付けであっても1−2週間で審査を終了させ、ほぼ100%融資がついていたと。これは他の銀行との比較において驚愕のスピードと言っていいでしょう。常識的には考えられない。そんな短期間で承認が降りるには、、、、、

この裏には、さもありなんと頷けるカラクリがあったのです。

この件に関わった複数の業者の言によると、融資担当行員は自ら販売業者に書類の改ざんを指示していたとのこと。「この年収では融資は通らない、この資産額では融資は通らないので、せめて◯◯千万は欲しい」と業者に告げていたとの報道が相次いでいます。このことについては当時の支店長も承知していた、いやむしろそれを指導していたとも言われています。それを告げられた業者は預金通帳を改竄し、年収を改竄して書類を提出し、それを受け取った行員はのうのうとそれを本部に提出して融資審査を通していたと。このこと業者の弁に加え、ついに元行員からの証言も出てきたと。現在金融庁の立入検査がスルガに入っています。どこまで踏み込んだ検査がなされるのか目が離せません。

融資基準を熟知した行員の指導に基づいて作られた書類であるなら審査が早く通るのも頷けます。この案件は、スルガ銀行の一支店だけの話ではなく、複数支店に広がっていきました。最終的には十一支店・出張所に広がりました。このことは何を意味するのか?

スルガ銀行では、この案件の融資が複数の支店で実行され、それに疑問も呈さず、不正を見抜くこともできず、むしろ成績優秀として表彰、昇進させたといわれています。

確かにスマートデイズの案件や他のすでに倒産しているシェアハウス案件は首都圏限定のビジネスモデルですので、スルガ銀行においても特定の支店からのみ融資申請がなされる事は不思議ではないでしょう。しかし、これほどのスピードで、つまりほんの2〜3年で都内23区に限定して800棟ものシェアハウスを供給することに本店審査部は疑問を持たなかったのでしょうか?供給過多になり、いずれ破綻するモデルであると、誰も思わなかったのでしょうか?

上記が事実であるならば、融資担当行員の不正への加担ということになるでしょうし、これほどの規模と数年にわたる融資案件、なぜ社内外の監査が見逃したのでしょうか?気付きながらも指摘しなかったと言われてもおかしくないのではないでしょうか?あるいは、危険な案件に融資をすることが常なので、不正にも気づけない体質になっていたのでしょうか。何れにしても取締役レベルや監査体制について責任が追及される案件と言えるのではないでしょうか?

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さらに、スマードデイズの融資には抱き合わせが常態化していた。具体的には

  • 保証家賃に比例した積立定期預金
  • 融資実行前に定期預金として数百万円の口座開設が義務
  • 500−1000万円の無担保フリーローンを借りること(金利7.5%)
  • スルガプラチナカード会員になること(これは全員ではないよう)

これは、形式上スルガからのご提案、という形で紹介されていましたが、融資契約時にはこれらのほぼ全てを、特に定期預金と積立定期預金については融資の条件であり、
「これなしに融資を受けている人はいない」として強制していたとのこと。もちろんこれは銀行法違反ですが、そのようなことを理解している投資家などほぼ皆無で、行員に言われるまま契約したと聞きます。

スマートデイズの案件ほぼ全てで積立定期預金や定期預金がなされていた、このことについて社内で疑問が呈されることはなかったのでしょうか?それとも、スルガ銀行ではスマートデイズの案件に限らずこのような抱き合わせは常態化していたのでしょうか?

投資家の活動

現在一部の投資家は被害者団体として弁護団を形成してスルガと対峙しています。

不正な融資を看過し、幇助し、融資を実行したが故に被害にあった。その責任を取ってもらいたい。融資の白紙撤回を求める、とのことです。

投資家として持って行きようのない憤懣は理解できます。
なぜこんな融資を実行したのか?と思いたくもなるでしょう。
スルガ銀行さえまともな審査をしていれば、
不正に絡んでいなかったとしても、融資を無理やり通さなければ、
こんな事態にならなかったのにと。

一方、このような活動に批判的な声も聞こえます。
投資は自己責任であり、お金を借りた銀行に文句を言うのは筋違いであると。
確かにその通りです。白紙撤回というのは虫のいい話でしょう。
投資家も融資を受けるときにはこれで幾らか儲けられると思っていたでしょう。
本件の解決を見るにあたり、投資家も何らかの痛みを味わわざるを得ないでしょう。

しかし、だからといって自己責任という一言で全てを片付けてしまう思考は危険ではないでしょうか?投資で儲けようと思うのは当たり前ですよね?損しようと考える人など一人もいないです。だからこそそこに詐欺や詐欺まがいの案件が紛れ込むのでしょう。

投資にリスクはつきものです。

スマートデイズの前進、スマートライフ、少し怪しいです。聞いたこともない新参の企業です。販売会社はごく普通の不動産仲介業者、怪しいといえば怪しい。建設会社はそこそこ名のある会社、MDIもその一社ですね。でも、大手ではない。シェアハウスを建てるのに大手の建設会社が関わるはずがない。ここまでであれば、シェアハウスの購入に躊躇した投資家は多かったのではないでしょうか?

ですが、不動産投資の場合には、銀行融資がつくのですよね。融資がないととても買えない。年収やら資産やら勤め先、家族構成までを明らかにして審査されるんですよね?そして、その審査に合格して、融資が実行される。ここに落とし穴があった。そしてこれが本件を複雑にしている所以です。

それがスルガ銀行。確かにスルガ銀行については金利が高く、他の銀行が手を出さないような案件にも融資するとの話は聞きます。ですが上場会社で地銀第3位の利益率。まさかその銀行が、たとえ支店レベルであっても不正に関わっていると想像するでしょうか?よしんば不正に関わっていなかったとしても、厳正に審査されていると考えるのではないでしょうか?

正常な融資審査をしていれば融資は成立していなかったはず。

銀行側に不正があったかどうかは未だ確定していませんし、不明ですが、仮にも不正があった場合、数名の融資担当行員や支店長レベルの不正、背任行為で済まされる状況ではないでしょう。11もの支店・出張所で融資を実行していたのですから、不正に絡んでいた行員や支店長がいるのなら、は二桁に登るはずです。スルガ本体として、あまりにも杜撰な管理・融資体制に非難の目が向けられることは避けようがないでしょう。現時点でスルガ銀行の株価は一時の半値になってしまいました。不正の有無にかかわらず、経営責任を問われることも避けられない状況ではないでしょうか。

過去の事件を調べてみますと、これまでも、行員の不正による貸付事件は起こっています。多くの場合、行員が罰せられて銀行本体はお咎めなし。

しかし本件はこれまでとは様相が異なります。スルガ銀行本体の経営責任を問われる事件性の様相が強いです。少なくとも株価の暴落を招いた時点で単なる投資の失敗で片付けられない案件であると認識されたのでしょう。過去の報道では、マスコミの風潮として、事件の全貌を伝えるものの、その後投資家がどうなったについて報じられることはなく、闇に葬り去られています。旬を過ぎた事件にマスコミは興味がないのでしょう。

今回の件も、たとえ不正があったとしても、スルガ自体が担当行員や支店長を背任行為で訴えて、それで終わり。それで事件は解決したように報じられ、忘れ去られるのでしょうか?公正であるべきマスコミの責任として、最後まで正しい報道がなされる事を期待したいですね。

もちろん、当ブログでは可能な限り本件を追跡して皆さんにお知らせしたいと思いますので、RSS登録お願いします!

法的にスルガが取れる対応策は限られています。株主の手前、大きな損を出してまで投資家を救済することは許されないでしょう。スルガ銀行が首謀者とはいえないでしょう。しかしながら、スルガ銀行にしてみても大量の自己破産者を出したいと思っているわけではないでしょうし、この件にて数百名もの自己破産者、挙句に大量の自殺者まで出ることになれば、経営の根幹をゆるがすことになりかねません。

銀行本体の不正ではなかったとしても、これだけ多くの行員や支店長が不正に関わったと考えざるを得ない事件です。真摯たる対応を取らなければ、企業として立ち行かなくなるのではないでしょうか?顧客主義をうたっている企業として、どのような対応策をとるのでしょうか。投資家としてもなんらかの痛みを避けられないと同時に、スルガ銀行もそれなりの痛みを被るべきではないでしょうか?

まだまだ目が離せない案件です。

2018/5/8追伸

弁護団はスルガと交渉したものの、債務の減免については平行線をたどったとのこと。

スルガは本日貸し倒れ引当金を220億円積み増ししました。これは本件の貸出1000億円の内、回収不能と見なした債権の額になるのでしょう。

仮に750億円分の債権が対象の場合、物件を売却し、残債を損金とできた場合には、損金は約230億円になりますね。

しかしスルガは他にも似た様なスキームでの貸し出しを行っています。この程度の損害で済むのでしょうか?

現時点で本件に対する減免の費用を積み立てるとは思えませんが、それにしても楽観的すぎるのではないでしょうか?

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