スルガ銀行株主総会大荒れ、シェアハウス問題|会社の言い分と被害者の言い分

時事
rihaij / Pixabay
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2018年6月28日 スルガ銀行の株主総会が大荒れで終了しました。

スルガ銀行第三者委員会報告書|法的責任認められないとはどういうこと
321ページに及ぶスルガ銀行の第三者委員会による報告書が発表されました。調査報告書の目的は事実を確実に把握し、原因を究明することにあると記されています。その目的は達せられたと言えるのでしょう。確かにこれまで噂レベルで報道されていたものが、厳...

 

冒頭、岡野会長自ら「お客様および株主様をはじめ多くのステークホルダーの皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけしておりますことを深くおわび申し上げます」と謝罪され始まった株主総会でしたが、被害者からの野次や質問で大荒れになったようです。

例年であれば100名ほどの出席で長年の株主たちと和やかな雰囲気で終了する株主総会も今回は一連のシェアハウス、アパート融資問題により600−700名の出席を見込み会場を設営して臨んだとのこと。

朝から大勢の報道陣も駆けつけ入場までに長蛇の列を作り騒然とした雰囲気の中で開催されました。

会場では罵声が飛び交い大荒れとなったようです。

「誰一人辞任しないなどゆるされない。経営責任を追求したい」と不満をぶつけたい被害者の弁。

現時点ではこれ以上身動きが取れない銀行。

下記状況を読んであなたはどのような感想を持つのでしょうか?

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スルガ銀行の対応および言い分

本日の株主総会に先立つ6月26日、「シェアハウス等顧客対応室」の設置についてと題して下記内容の対応策を自社ホームページに掲載しています。

シェアハウス関連融資等の問題につきましては、多大なるご心配とご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。
当社は、現在、第三者委員会(委員長:中村直人弁護士)を設置して、シェアハウス関連融資およびその他投資用不動産関連融資について、事実関係の調査と原因の究明を行なっていただいているところですが、以下のとおり、お客さま対応を進めてまいります。

当社は、2018年6月26日、シェアハウス案件等に係る債務者の方々について、お客さま本位の抜本的な対応策を講じるため、東京本部(中央区日本橋)に「シェアハウス等顧客対応室」を創設いたします。「シェアハウス等顧客対応室」は社長直轄の組織とし、約50名の専従職員から構成されます。
当社は、債務者の方々のおひとりおひとりについて、その置かれた個々の状況に応じてきめ細かく、貸出金利の引下げ、元金の相当期間の据え置きなどの対応をさせていただくとともに、状況に応じて、ADRの活用なども含め、金融機関として取り得る、あらゆる選択肢について検討を行なってまいります。
また、シェアハウス等の入居率アップなど収益性の向上を図るため、現在、

野村不動産株式会社
野村不動産アーバンネット株式会社
三井不動産リアルティ株式会社

から助言、支援を受けることを協議しており、アドバイザリー契約を締結する予定です。
当社は、お客さま本位の姿勢で、真摯かつ丁寧にご支援を行なってまいります。

引用:スルガ銀行HP

これら対応策はすでに当Colo情報室でも提言している内容で新鮮味はないですが、現時点でできる限りの事をするという姿勢でしょう。

また経営陣の経営責任ついては、5月15日時点で下のように記しています。

6.経営責任について

第三者委員会の調査結果及び金融庁の検査結果を待って、役員の経営責任については、 厳しい対応をとる所存です。 それまでの間は、現経営陣で第三者委員会調査及び金融庁検査に全面的かつ真摯に対応 してまいります。

引用:スルガ銀行HP

本日は株主総会でしたが、株主総会での経営陣刷新決議ではなく、第三者委員会および金融庁の検査への対応後に現経営陣への対応を図ると述べています。

 

これまでスルガ銀行の弁護団は被害者団体の弁護団とのやりとりでは非常に高圧的な態度をとっており、むしろ「銀行は被害者であり、弁護団の要望を受け入れるつもりは一切ない」との姿勢だったようです。

 

銀行としては第三者委員会が事実関係を調査し、金融庁が検査をしている最中であるので、その結果を待ち、最大限の善処を図る。

現時点では一律の債務免除などの解決策は無く、個別交渉以外はない、とのスタンスを崩していません。

この様な状況下で個別交渉し、第三者委員会の結論が出た後はどうなるのか、気になるところです。

 

被害者たちの対応と言い分

一方の被害者たちはどのような対応をとっているのでしょうか?

これまで、弁護団とともにスルガ銀行が委任した弁護士たちと交渉を重ねていますが、平行線を辿っているようです。

また、スルガ銀行東京支店前で早朝から数回デモを実施しています。

被害者の会はいくつかあるようですが、最大勢力の会は河合弁護士に委任するグループですでに会員数は250名を超えているようです。

被害者団体に加えて、委任されている弁護団は常に強弁を発しています。

これまでの情報や報道によりますと、以下のような主張を行っています。

  • 行員が加担、あるいは主導して不正を招き、本来融資できない案件に融資をつけたのであるから金消契約は無効である。
  • 他にも歩積み両建てという行ってはならない手法で無担保ローンやクレジットカードの契約をさせたことも問題である。
  • スマードデイズの経営状況や入居付状況を把握すべき立場であったにも関わらず、無尽蔵に融資をつけたことがむしろ事態や被害を大きくした原因である。
  • スマードデイズ案件の融資はスルガ銀行が一手に引き受けており、相当数の行員、幹部が関わっていたことが判明しているので、これはもはや組織的不正融資とみなすべきだ。
  • 不正による融資なので返済義務はない。
  • 融資で得た物件を引き渡すので、代物弁済として事を清算してほしい。

被害者団体としての主張です。

今回の株主総会もこの主張を岡野会長に直接訴求すべくわざわざ株を購入して参加したとのことです。

もちろん、被害者たちの投資家としての責任を無視することはできません。

罵声や怒声は建設的とは言えませんが、この状況が冷静さを失わせるのでしょうか。

と同時に、「詐欺事件が疑われる不動産販売管理会社スマートデイズ」に騙され、一夜にして全く返済計画がなり立たない状況に追い込まれた本件に多くの銀行員が関わっていたとなれば、「全ては自己責任」で泣き寝入りする気になれないという心境になるのも無理はないとも言えのではないでしょうか。

前代未聞の事件であるので、どのような結末になるかは誰も今だに予想がついていません。

被害者たちは投資家としてのどのような責任を取るのか。

銀行は株主に対する責任と同時に、被害者=顧客や社会に対する責任もあるはずです。

やはり真摯に向き合いお互いが最善の解決策を模索する姿勢をとってもらいたいと個人的には強く思います。

また、影に埋もれていますが、莫大な利益を得たスマートデイズ元社長や幹部への対応の行方が気になります。無罪放免なのでしょうか?

 

最後にスルガ銀行の5月15日づけ説明文全文を引用しておきます。

 2018年5月15日 「シェアハウス 「シェアハウス関連融資問題」に関する経過のご報告と今後の対応について スルガ銀行株式会社 代表取締役社長 米山 明広 2018年1月に株式会社スマートデイズ(以下、スマートデイズ社)がシェアハウス オーナーに対する賃料支払を中止したことに端を発するシェアハウス関連融資の問題につ きましては、お客さま及び株主さまをはじめ、多くのステークホルダーの皆さまに多大な るご迷惑とご心配をおかけしておりますことを、深くお詫び申しあげます。当社は、この問題の発生を受け、外部の弁護士で構成される「危機管理委員会」を設置 して、事実関係の調査を実施してまいりましたが、別紙のとおり、その概要をお知らせい たします。 また、当社は、事態の重要性に鑑み、ステークホルダーの皆さまに対する説明責任を果 たすことが不可欠であると考え、本日、当社から完全に独立した中立・公正な専門家のみ で構成される「第三者委員会」を設置して、事案の徹底調査と原因の究明を行っていただ くことにいたしました。「第三者委員会」は、日本弁護士連合会の「企業等不祥事における 第三者委員会ガイドライン」に準拠したもので、その調査結果は、調査が終了次第、速や かに公表いたします。 以下、現状についてお知らせいたします。

1.シェアハウス関連融資の全体像 2018年3月末時点で、シェアハウス案件について当社から融資を受けておられるお 客さま1,258名、融資残高は203,587百万円となっております。これは、スマ ートデイズ社に関わるものに限られません。

2.お客さまへの対応状況について
2017年12月、シェアハウス案件のお客さま対応の一環として「お客さま対応チー ム」を設置いたしました。同チームにて、お客さまからのお問合せや今後のご返済条件の 見直しについての相談など、お客さまのご事情に応じて個別に対応しております。現在は 同チームを増員し28名の体制としています。同チームは、サブリース業者の破綻に伴い返済が困難になったお客さまに真摯かつ丁寧 に対応するために、お一人お一人に対し、電話による来店誘致を行い、ご相談に応じてお 2 り、同チームの活動により現時点で既に90%以上のお客さまとコンタクトができており ます。お客さまのご要望に沿った最善の解決策(金利の引下げや元金の据置等の条件変更) をご提案し、順次契約手続等を速やかに実施しております。 また、2018年2月には、封書によるアンケートを実施するなど、融資実態の把握に 努めております。 現在もご返済に延滞が生じたとしても法的措置等の対応はとっておりません。

3.報道等により指摘されている事項について
危機管理委員会の調査や当社による顧客アンケート及び社員アンケートなどにより、融 資を受けるに際してお客さまの自己資金の残高を証明する通帳等の偽造や改ざんが行われ ていたこと、より多額の融資を受けるために実際の売買契約書とは別に売買代金額を水増 しした「銀行提出用」の売買契約書が作られていたこと(二重契約)などが判明しており ます。また、これらの事実については、相当数の社員が認識していた可能性が認められており ます。 これらの点について、現時点で確定的な事実認定はできておりませんが、これらも含め、 第三者委員会に徹底した調査を行っていただくことにしており、当社も全面的に協力する 所存です。

4.現時点での問題認識と対応策
以下に、危機管理委員会の調査ならびに当社の社内調査などに基づく現時点での問題認 識と実施している改善対応策を説明させていただきますが、今後、第三者委員会の調査結 果や金融庁検査の結果等を踏まえ、改めて根本原因を特定した上で、抜本的な改善対応策 を講じてまいります。

(1)営業及び審査の体制
(イ)現時点での問題認識 当社は、シェアハウス関連融資の営業推進にあたり、投資用不動産融資の一つとして不 動産業者を窓口とした営業(チャネル営業)を活用してきましたが、土地売買価格の水増 し(二重契約)や自己資金確認資料の偽造や改ざんといった不正が行われていたことが判 明いたしました。これは、チャネル営業に依存した結果、不良チャネルに対するリスク認 識が不十分となっていたものです。 また、前年比増収増益を継続しなくてはならないというプレッシャーから、事実上、営 業が審査より優位に立ち、営業部門の幹部が審査部に圧力をかけるような状況も生じてお りました。この結果、審査機能が十分に発揮できていなかった面があると認識しておりま す。

3 (ロ)現時点での対応策 チャネル管理は、当社独自のシステムへの情報登録により行っており、かかる情報に基 づいてチャネルとしての取扱いの可否を判断してまいりました。不動産担保ローンにおい て不動産の販売業者は融資先ではありませんが、今般の事案を受け、自社での調査能力を 拡充させるなど質的な改良を加えつつ、外部調査機関も活用することによりさらなる厳正 化を図ります。 また、審査機能を強化するとともに、営業部門内にも営業推進と業務管理の双方を統括 する責任者を配置いたしました。各営業店においては、所属長が規程に則ったプロセス管 理を厳正に行なうことで、初期の与信管理を徹底し、自律的統制機能を強化しております。

(2)コンプライアンス体制
イ)現時点での問題認識
①自己資金の確認について 当社においては、自己資金確認資料(通帳等)については、原本確認を行うべきこと となっていたにもかかわらず、その手続が省略され、また、インターネットバンキング については、入出金明細の確認にあたり Web 上の画面を印刷したものの確認に止まって いた件も多く存在しました。また、営業社員の中には、通帳などの自己資金確認資料やその他当社への提出される 資料が偽造・改ざんされた可能性があるとの疑念を抱いていた者もいたことが確認され ており、これらの事実については、相当数の社員が認識していた可能性が認められてお ります。

融資実行時にお客さま自らが自署、押印した「自己資金確認書」を差し入れいただき、 自己資金もご本人に明細を記入していただいていた営業店がございました。これは、通 帳が発行されないインターネットバンキングに係る証憑での自己資金の確認が多くなっ たことや事務の繁忙のため通帳等の原本を確認することが徹底できなかったことから、 原本確認を補完するものあるいは原本確認に代わるものとしてお客さまにお願いしてい たものですが、結果として、本来の確認作業が疎かにされることになった可能性があり ます。

②土地売買契約締結について お客さまと不動産業者との間で、土地売買契約締結に際して、正規の売買契約書とは 別に、当社から過剰融資を引き出すための「銀行提出用の契約書」や「変更契約書(覚書)」 などが締結されていたことが確認されています(二重契約)。 二重契約に対しては、銀行側としての対応策が十分にできておりませんでした。しか し、二重契約の存在については、相当数の社員が、その可能性を認識していたと考えら れます。

③フリーローン等の販売について 4 定期預金や積立定期預金は、将来的な修繕費用の備えとして、耐用年数を超える期間 の融資を実行するために必要であると判断してご提案したものです。 しかし、フリーローンについてはそのような背景はなく、お客さまにお願いして契約 していただいたものでした。特に、横浜東口支店では、営業担当者とチャネルが一体と なりフリーローンを「融資の条件」とするセット販売が行われておりました。

④全般的に、営業成績を重視した結果、目先の成績の追求に走りコンプライアンス意識 が低下し、お客さま本位の業務運営が不十分になったものと認識しております。

(ロ)現時点での対応策
危機管理委員会からは「お客さま本位の業務運営」ができていなかったとの指摘を受 けております。このため、コンプライアンスの再徹底はもとより、「お客さま本位の業務 運営」を徹底、実践する態勢を構築してまいります。 また、自己資金の確認において通帳等の現物を確実に確認する仕組みを構築する等、 厳正な融資審査が行われる態勢を強化してまいります。 また、従前は個人の営業実績にウエイトをかけた人事評価を行っておりました点につ きましては、今年度より定性評価項目の割合を拡大させた人事評価を導入しております。

(3)経営管理体制
(イ)現時点での問題認識 当社は、金融環境が激変する中、いち早くリテールビジネス戦略を展開し、個人ローン 営業に特化してまいりました。そのような中、意思決定の迅速化を図るため執行役員制度 を採用し、経営と執行を分離することで、決裁権限の明確化を図りました。 しかしながら、シェアハウス関連融資については、それまでの資産形成ローンの一つと して捉えるのみであり、経営として全体的な規模感やビジネスリスクを把握しておらず、 ガバナンス機能が不十分であったものと認識しております。

(ロ)現時点での対応策 会社全体のリスク管理態勢の適正化ならびに一層のガバナンス強化のため、取締役会、 経営会議、執行会議の会議体の見直しを中心とした機構改革を行いました。従前は執行役 員のみが参加していた執行会議に、取締役が出席することで取締役によるモニタリングを 強化し、営業推進上や業務面で発生している各種課題等をいち早く把握し、審議すること で、ガバナンス機能を厳格に行使できる体制としました。 また、お客さまからの苦情等のお申し出については、経営陣へ速やかに報告が上がる体 制とするため、手続の見直しを行いました。

5.ガバナンス態勢の再構築
6月28日の定時株主総会で選任いただくことが前提ではありますが、お客さまをはじ め、様々なステークホルダーの皆様の信頼を確保するに足る社外取締役と社外監査役を選 5 任し、ガバナンス態勢の強化を図ってまいります。 また、社外取締役による監督機能を発揮、強化するために、社内取締役の選任に対する 社外取締役の関与の制度化を検討しております。

6.経営責任について
第三者委員会の調査結果及び金融庁の検査結果を待って、役員の経営責任については、 厳しい対応をとる所存です。 それまでの間は、現経営陣で第三者委員会調査及び金融庁検査に全面的かつ真摯に対応 してまいります。危機管理委員会委員 委員長 久保利 英明 弁護士(日比谷パーク法律事務所) 委 員 國 廣 正 弁護士(国広総合法律事務所) 委 員 宮 野 勉 弁護士(アンダーソン・毛利・友常法律事務所) 第三者委員会委員 委員長 中 村 直 人 弁護士(中村・角田・松本法律事務所) 委 員 仁 科 秀 隆 弁護士( 同 上 ) 委 員 山 田 和 彦 弁護士( 同 上 ) 委 員 倉 橋 雄 作 弁護士( 同 上 ) 以上

引用:スルガ銀行HP

 

 

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