後発医薬品産業再編必至|日医工、沢井製薬、東和薬品の未来は

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ジェネリック医薬品業界の将来を予測する。

富士経済によると後発医薬品市場は2019年に1兆円を超えると予測されています。

H17年に32.5%であった使用割合をH32年には80%に引き上げるとした厚労省の施策もあり、今しばらく拡大傾向が続きそうです。

確かに、後発医薬品市場自体は今しばらく拡大傾向が続くでしょう。

しかしながら、各メーカーレベルで見た場合には様相は一変します。

日医工、沢井製薬、東和薬品といった専業大手の販売数量は予測を下回っています。

これまでは、厚労省によるインセンティブにより業績を伸ばしてきた感がありますが、もはやそれにも限界が見え始めたようです。

更に今後厚労省は薬価の引き下げ策をさらに強化していく方針を打ち出しています。将来に暗雲が垂れ始めたと言えるでしょう。

H32年に数量目標80%を達成した跡に見える世界は、どのようなものになるのでしょうか?

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近未来の後発医薬品産業

バイオシミラーの主導権を逃した後発医薬品大手

後発品メーカーは先発品の特許が切れない限り新製品を出せません。新薬がなければ成り立たないビジネスです。

製薬産業では今後これまでの製法で作れる低分子薬と言われる分野の新薬自体が減少していき、高分子薬(バイオ医薬品)にシフトして行くことは間違いありません。

しかしながら、大手後発医薬品メーカーの中で高分子医薬品を自社で作れるメーカーはありません。(一部後発品メーカーが海外から技術導入して生産を手がけていますが)

厚労省の指導にしたがって目先の市場拡大に対応するために生産能力拡大に資力を費やしたがために、一製品の開発に50−100億円もの開発費がかかるバイオシミラーに資金を回せる余裕がないのです。

勿論資金の問題だけではなく、バイオシミラーの開発にはこれまでとは全く異なる生産技術が必要になります。そのような技術は今の後発医薬品メーカーにはありません。

結果として、一部メーカーが海外メーカと提携してバイオ製品を確保しているのが現状です。

つまり、医薬品業界が高分子薬にシフトすればするほど、商売の種が減って行くことになり、肝心要の生産を海外メーカに頼らざるを得ない構造になっています。

2010年ミクスによる沢井製薬へのインタビューによると

澤井社長は、現行のGEがまだ医療現場に十分に浸透しておらず「いかに売る体制にもっていくか結論が出ていないため」とし、「慎重に対応したい」と述べた。しかし、バイオシミラーを手がけないと先細りになることも認識しており、説明会では、参入の必要性とともに、提携も視野にあることを認めた。

経営トップとしてバイオシミラーの重要性を認識しつつも、大きな投資を避けざるを得なかった様相がうかがえます。

数量の伸び率は減少し、価格低下で売り上げ低迷

厚労省の思惑通り、新薬に対する後発医薬品の数量割合80%は達成されるでしょう。

ですが、それが後発メーカーの利益を保証するものとは捉えられません。

後発品が市場に出る際には、基本的に新薬の50%の価格から始まるように薬価制度が改定されました。さらに、その薬価が自社努力にかかわらず恒久的に下がる仕組みも導入されました。まさに蟻地獄です。

これまで、産業を守る役割をも担っていた監督官庁ですが、背に腹は代えられません。

利益を絞り出せないメーカーの淘汰はやむなしとの姿勢です。

今後後発医薬品の価格はますます低下することが予測されます。生産効率を高め大量生産で薄利多売という本来のビジネスモデルで稼いで行くしかないのですが、日本では規制が強く、それにかかる経費も高額になりがちです。

日本の後発品市場が伸びるだとろうと進出してきた外資後発品メーカーも、海外で通じる製品が日本では規制により販売できない状況に面して、思うような業績を上げられず苦戦を強いられています。

外資後発品メーカーの場合、販路が弱く、国内での品揃えも十分ではなく、かつ日本基準の品質確保に経費がかかり、本来の低価格戦略が取れないため、苦戦が続いているのです。

本国からすれば簡単に市場を取れるとの思惑があったのでしょうが、それほど簡単な市場ではありません。

冒頭にも記しましたが、後発品メーカーは新薬がなければ生きていけません。

そして、その新薬市場も厚労省の薬価抑制策により市場の伸びが期待できないと予測されています。世界市場で医薬品市場が伸びなくなると予想されているのは日本だけです。

近未来の後発医薬品市場は業界再編しかない

あくまで、筆者の独断と偏見でしかありませんが、

ここまで読んでいただければ、後発医薬品市場の未来はある程度見えてくるのではないでしょうか?

限られたパイを取り合う市場では、差別化に成功するか、新機軸を打ち出すしか生き残る方法ありません。残りは吸収合併により淘汰される。これはこの業界に限らずどの業界において避けられない原理原則です。

日本の後発品市場には、そこにチャンスがあると睨んで参入してきた外資や、生き残りをかけて業態変容を模索する中小新薬メーカー、医薬品市場を新たな収益源にしたい他業種からの参入と群雄割拠の状態です。

さて、この混沌とした市場で生き残るのはどの会社でしょうか?

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日医工は、、、

後発品メーカーにあって、果敢に買収を繰り返し、また早くから先発メーカーから長期収載品を継承する作戦をとることにより病医院でのプレゼンスを高め、卸でのプレゼンス向上にも成功しました。

気が付けば後発品メーカーNo.1の地位を確保したという形になりましたが、多額の投資と借入金により同業他社に比較して利益率の低さは気になります。

バイオシミラーへの投資も積極的であり、東南アジアもとより、北米ではセージェント・ファーマシューティカルズを買収し進出を果たしています。

しかしながら、米国市場での戦い方は日本とは根本的に違います。日本的ジェネリックが通用するのかどうか注視したいところです。

時価総額は990億

売上=164.717万円

当期利益=8,070百万円

総資産=278,364百万円

沢井製薬は、、、

長らく業界No.1でしたが、暫く日医工にその座を明け渡し、No.2の位置に甘んじていましたが、米国後発品メーカー アップシャースミスラボラトリーを1155億円で買収、僅差ではありますが再度No.1の位置を奪取しました。

杏林製薬との合併話がとん挫した後は自前主義を堅持していましたが、さすがに国内自前主義での限界を悟らざるを得ず、海外に活路を見つける形になりましたが、こだわりの強さが特徴である同社が、インド勢が安売り攻勢をかける米国で戦えるのかどうか?

時価総額は2,173億

売上=168,068百万円

当期利益=14,017百万円

総資産=358,453百万円

東和薬品は。。。。

後発品大手の中でも異色の存在。

病院販路が強く、卸を使わずに自ら病院に製品を売る直販と言われる流通が特徴でしたが、時代の流れに逆らえず17年4月から卸販路での販売を開始しました。時すでに遅しの感は否めません。特徴ある製剤技術があるため何とかなっています。今後どうなるでしょうか?

他社同様国内での成長に限界がある中、18年を目途に米国進出を計画していますが、どのような戦略で進出するのでしょうか?

他社同様価格競争の激しい米国市場での勝算の程はいかがなものでしょうか?

時価総額は1,240億

売上=93,430百万円

当期利益=6,495百万円

総資産=79,920百万円

武田テバは、、、

最後に外資No.1を紹介します。

国内大手後発品メーカーの大洋薬品を買収して、鳴り物入りで日本に攻勢をかけた世界最大手後発品メーカーTevaでしたが、大洋薬品の品質問題解決に手間取り、単独成長を断念。

武田と手を組み武田テバを形成して逆転を図るも未だ負の遺産に苦しんでいるようです。17年12月の売り上げは1000億程度であったと報告されていますが、品目の整理が今後も必要であり、武田の長期収載品払下げとオーソライズドジェネリックが頼みの綱。成長可能性は武田薬品とテバ本社の資金力次第か?

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まとめ

ここまで見てきたところ、国内3大メーカーは、既に国内市場の飽和を見越して海外に活路を見出そうとしていますが、かつて先発メーカーがチャレンジして玉砕したことを思い出させます。まさしく背水の陣の様相です。しかし、ここは避けて通れない道でしょう。

規模に劣る日本勢が海外でどのように戦うのか。

国外では日本企業に対する擁護などありません。ジェネリックの世界は安さ勝負です。そのような過酷な世界でこれらメーカーがどのように戦っていくのか、更なる買収劇が起こるのか、後発医薬品産業も大きな地殻変動が起こりそうです。

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2018/5/27

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