大正製薬、第一三共、アステラス、相次ぐリストラ策で製薬産業再編の幕開けか

大正製薬、第一三共、アステラス、相次ぐリストラ策で製薬産業再編の幕開けか

 

一般用医薬品の大手、大正製薬が早期退職者を募集します。

2018/9/12 追記: 大正製薬ホールデイングスは、早期退職を募集し、全従業員の約15%にあたる948名が応募したと発表しました。

これにより、大正製薬グループの中堅、ベテラン社員がごっそりと抜ける事になります。

しかし、製薬産業では、大正製薬だけではなく第一三共、アステラス製薬といった大手医家向け製薬会社も窮地に立たされています。

さらにはサノフィー、MSD、ファイザー、ベーリンガーインゲルハイム、などといった大手外資製薬会社も大規模・小規模おり混ぜたリストラ策を打っています。

常に安定して成長してきた製薬産業に何が起こっているのでしょうか?

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大正製薬の早期退職募集

大正製薬と国内グループの従業員6300名を対象として人数に制限をかけずに募集をかけます。

勤続10年以上かつ40歳以上の従業員で、2018年9月末から12月末にかけて退職することになります。人数に制限を設けないとの公表ですが、数百名規模の応募が予想されます。

(2018/9/12追記:応募は948名、特別損失122億円の計上が公表されましまた。)

大正製薬は1912年創業の老舗で、OTC(Over The Counter)薬、つまりドラッグストアで医師の処方箋なしで買えるお薬をメインに扱っている製薬会社でしたが、医家向け、つまり医師の処方箋が必要な病院向けの医薬品製造販売にも参入しています。

今回のリストラはこの医家向け医薬品事業の停滞によるものであると言われています。
(2018/9/12追記:原因は医科向け医薬品の停滞に限らず、企業としての複合要因であるようです。

この業界に詳しくない方にはドラッグストアに並ぶお薬のメーカーやテレビでコマーシャルをしているメーカーになじみが深いと思いますが、実は製薬会社というのは医師向けの薬剤を手掛けている会社も多く、規模も大きいのです。

 

余談ですが、米国では医療保険が高く、全ての国民が保険に入っているわけでもないので、OTC薬の役割は大きく、とても安く薬剤が手に入ります。

日本と比べて半分くらいの値段で買えることが多いですし、例えばガスターと言う胃のお薬は日本ではバカ高いですが、米国ではとても安いです。

どうして日本の薬代は高いのか?

関係者によると、コマーシャル代と人件費だそうです。

医家向けのの薬剤は健康保険で安くもらえる。一方のOTCは高い!そしてメーカーとしてはコマーシャル代と人件費で薄利傾向。

大正製薬は富山県にある抗生物質に強い富山化学と業務提携し、2002年には大正富山医薬品株式会社という販売会社を設立しています。

大正製薬は一般用医薬品の大手でしたが医家向けのノウハウは多くはありませんでしたので、富山化学と組んで医家向け強化を図ったのです。

ところが、この提携案件には富士フィルムが割って入りました。

2008年、大正製薬が66%、富士フィルムが34%の割合で富山化学の株式を所有する戦略的提携が発表され、今日に至っています。

富士フィルムはその当時写真事業の将来を危惧し、医療分野と化粧品に大きな投資を始め、現在一部、大きな花を咲かせつつあります。

富士フィルムは製薬の歴史がなく、過去にしがらみがないために独自技術を生かした新分野にチャレンジしてそれが日の目を見つつあります。

ただし、富士フィルムの製薬事業も、現時点で成功していると言える状況ではありません。また、富士フィルムは再生医療にも多大な投資をしていますが、現時点では成果は出ていません。

そして18年に入り、大きな動きとなりました。大正製薬ホールディングスは、2018年5月14日付にて大正富山医薬品株式会社を100%子会社とすることを発表しています。

更に、富士フィルムとの戦略的提携を発展的に解消し、富士フィルムが富山化学の100%株主になることに合意しました。

この事により、大正製薬は富山化学、富士フィルムの創薬リソースを失い、自らの研究開発力で生き残る道を選んだと言うことになるのです。

このことが、今回のリストラにつながったのかどうかは定かではありません。

内部情報によると、将来を危惧した上原茂社長が経営立て直しのために自らリストラの道を選択した、とも伝えられています。

いずれにせよ、現体制を大幅に刷新しなければ生き残りが厳しい状況であることは間違いないでしょう

これまでの経緯、研究開発力を鑑みると、相当厳しい立場に追い込まれているとみるべきではないでしょうか。

因みに、大正富山医薬品では当面これまでの製品を販売することになるとの発表ですが、いずれ富山化学の製品は富士フィルム側に移行すると考えてよいでしょう。

 

まだまだ続く医薬品業界の構造改革

qimono / Pixabay

これまでにもこのブログでは製薬会社のリストラについて言及していますが、製薬会社の再編、リストラは、もはや待ったなしの状況です。

製薬会社MR大リストラの時代へ、

製薬会社リストラの猛威、早期退職制度の手法と対応策、今後の動向は?

アステラスの早期退職募集

アステラス製薬は、日本の従業員を対象に18年度に早期退職者の募集を行うと既に発表しています。対象はアステラス本体と国内グループ3社の社員で600名もの募集が想定されています。

600名規模のリストラが発表されました。(2018/6月現在)

 

アステラスの場合、全ての部門が対象と発表していますが、このような場合会社として縮小したい部門は決まっています。応募してほしい人材も決まっています。

営業など直接部門を含むアステラス本体に加え、資材管理などの営業支援を行うアステラス営業サポート社、研究支援を行うアステラスリサーチテクノロジー社人事部門の関連部門で人材育成や研修支援を行うアステラス総合教育研究所のグリーンサプライ支援業務以外の事業も対象です。

第一三共の早期退職募集

第一三共は、2014年12月に早期退職を募集しています。退職者数は513名でした。その退職者の大半は研究開発部門であったと言われています。

その後、2017年には部課長の役職定年を設けて、ある意味での早期退職のシステムを導入しています。部長は58歳、グループ長は55歳での役職定年を19年度中に施工することを目指しています。

更に、2018年、中期経営計画の達成のためには「全ての可能性を検討する」とし、更なる早期退職を否定しませんでした。

医薬品業界再編の本格化

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大手製薬企業の相次ぐリストラ策。

相次ぐリストラ策、これは、

先の記事でも書きましたが、製薬会社はもはやこれまでのビジネスモデルでは立ち行かなくなってきている証左でしょう。

皮肉なことに、これらリストラ策を発表すると株価が上昇するのです。

余計な贅肉をそぎ落とし、生産性の高い組織に再構築されることを期待しているのでしょう。

製薬会社は数が多すぎる。

吸収合併以外に生き残る道はないと言われ始めたのは1990年の初頭でしたが、その動きは緩やかでした。

その間に第一製薬と三共が合併して第一三共を形成しました。

藤沢薬品と山之内製薬の合併によりアステラス製薬ができました。

老舗の田辺が三菱ウェルファーマと合併して田辺三菱ができました。

大日本製薬と住友製薬の合併で大日本住友製薬が誕生しました。

しかし、これでも世界トップ10に入れる企業は一つもないのです。

その当時から、武田と第一三共或いはアステラスの合併が噂されていましたが、実現せず。

武田は単独で7兆円の資金を調達してアイルランドのシャイアーを買収し、ついに世界トップ10入りを果たします。

リストラだけでは企業は成長できない

NeuPaddy / Pixabay

リストラは再度の成長のための苦薬です。

これらトップレベルの企業が次に打つ手は成長戦略です。ではどのような手を打つのでしょうか?

日本の医薬品市場規模は、2017年通期で約10兆5千億円でした。

しかし、2018年から22年までの成長率は3%~0%とする予測もあります。

もはや日本国内だけでのビジネスでは生き残れないのは自明の理です。

規模を大きくして資金力により新薬を確保し、世界で戦うという戦略をとれないのならば、独自の創薬開発戦略が必要になりますが、それを実現できているメーカーは極わずかです。

戦略があっても画期的製品をよにだせないのです。

創薬力に欠け、海外展開も期待できない中小メーカーが生き残ることは、日本市場が衰退する事を鑑みるとかなり困難ではないでしょうか?

製薬産業に限らず成長エンジンを失ったメーカーは淘汰されるか、業態を変更する以外の道は残されていません。

製薬会社リストラの猛威、早期退職制度の手法と対応策、今後の動向は?

製薬産業の未来は

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製薬会社がなくなることはあり得ません。ですが今後製薬産業の業態は大きく変化するはずです。

生活習慣病のような既に開拓済みの領域は後発品とOTCにとってかわられ、それらに依存するメーカーは買収されることもなく消滅することになります。

未だに、製薬中小の再編は起こっていませんが、時間の問題と考えられています。

企業努力の問題ではありません。行政の考え方次第です。

特に製薬中小は二社三社がまとまっても競争力をつけるに至らず、再編戦略自体に苦慮するところです。

独自の創薬力がないメーカーが集まることでのシナジーは期待できません。既に国内の販売力などには魅力がないのですから。

厚労省はこれまでも医療費抑制のための策を打ってきましたが、歯止めはかかりません。

世界に類を見ない少子高齢化社会の日本において、社会保険給付費の抑制は困難を極めます。

おりしも、政府の発表によると社会保障給付費が2040年には190兆円になると予測されています。これまでのGDPの伸びから推定すればとても支えきれる額ではありません。

社会保障費が増えるから医薬品産業も伸びると考えるのは早計に過ぎるでしょう。

寧ろ、ますます医薬品の薬価抑制策が強化されるはずです

国民皆保険を堅持するため、混合診療(これまでは一部でも有料の治療を受けると全てについて保険がきかなくなっていましたが、徐々に保険診療に有料の治療や薬剤の使用が認められつつあります)をむしろ推進していくことになるでしょう。

日本の保険制度の根本的な改革が必要になるので早期解決を期待するのは困難ですが、既に厚生労働省による薬価削減策は待ったなし状態です。

いや、実は薬価削減策は厚労省による政策ではなく、財務省主導の「予算ありき」のなりふり構わない政策だということは、すでに周知の事実でしょう。

医薬品産業は規制産業です。厚労省が薬価を下げると決めれば薬価は下がります。既に着々と業界再編策が打たれています。

約30年前にささやかれ始めた医薬品産業再編話は、国家予算削減の名の下で、まさに現実化してきています。

阿部内閣は国の予算を消費する産業としてではなく、外貨を稼ぐ産業としての期待を製薬産業に寄せているのです。

医療の発展に対する医薬品の貢献は計り知れないものがあります。今後も医薬品が人の命を救うことは間違いありません。

しかしながら、産業構造は時代とともに変化するのです。

その変化に企業がどのように適応するのか、そして個人としてどのように対応していくのか、時代の先読みが必要になってきています。

生き残るためには、市場に受け入れられる製品を供給するしか方法はありません。

日本の製薬会社の次の成長戦略に期待したいものです。

 

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