こんにちはColoです。
ここのところ物騒なニュースが多いですね。
これまでディフェンシブと言われていた医薬品関連の企業でリストラが相次いでいます。もちろん10人、20人の規模ではありません。100名以上のリストラです。
製薬会社はこれまでは安定収入を得ていたのですが、もう昔のように収入を確保できなくなっているようです。それは、日本の超高齢化社会現象が原因なんですね。
一体何が起こっているのでしょうか?解説していきます。
え? 老人が増えると薬がたくさん売れて儲かるのではないか?と思われるかもしれませんが、儲かるという事は同時に誰かの支出が増えるということなんです。まだよくわかりませんよね?
これ、国の医療費予算の問題なんです。
老人がドラックストアーで自分たちで薬を買ってくれるのならそれでいいのですが、ドラッグストア、薬局で売っているような薬メーカー、有名なところでは大正製薬やSS、佐藤製薬などは、実はそれほど儲けていないのです。
厚生労働省としてはこれら市販薬でのセルフメディケーションでまかなってほしいと思っているのですが、日本医療制度は自己負担が少ないので、多くの患者さんたちはお医者さんでお薬をもらうのですね。
ということで、実はこれまで十分な利益を得ていたのは、病院向けのメーカーさんです。日本では武田薬品、アステラス、第一三共、塩野義製薬などですね。外資系メーカーでは、ファイザー、ノバルティス、GSK, MSDなどのメーカーが大手です。
十分な利益が出ていたから、それは儲けすぎだと言うのは少し早計です。実はこれらのメーカーは、新薬メーカーと言われ、莫大な研究費を投じて新薬を開発しなければ生き残っていけないのです。
ところが、新薬というものは頑張ったから新しいものが開発できるというわけでもないのです。優秀な研究者をたくさん抱え込んで、莫大な研究費をつぎ込んでも、次の新製品が手に入るとはかぎりません。
つまり、儲かってはいるけれど、新薬を出すことは至難の技で、それがなければ成長できない産業なんですね。
もう一つ大事な事は、新薬メーカーのビジネスモデルは、特許ビジネスということです。これはどういうことかと言うと、ルイヴィトンやカルティエなどのブランドビジネスとは違い、特許で市場独占し、利益を得るモデルです。逆に言えば、特許が切れると一気に利益を失うのです。
しかし、日本では国民皆保険制度に守られ、これまでは、特許が切れても相当の期間利益を続けることができました。
実際には、特許期間中の利益がアメリカなどで得られるものと比較して少ないという声もありますが、長期間安定して経営ができたということについては、だれも異論を唱えないでしょう。
ところがここにきて、様相が一変しているのです。
先程述べましたように、日本では超高齢化社会がすでに始まっています。安倍内閣が、景気は良くなってきているといいつも、日本国としての借金は莫大なものです。
日本は「いまだにデフレだ」とも言われています。そこからの脱出のために莫大な国家予算を使っていますね。そしてその借金の多くの部分は社会保障費への支出に使われているのです。社会保障費の一部はもちろん医療費です。
そのようなことから、厚生労働省は強権を発動し、特許の切れた新薬を可能な限り後発品に変更する施策をとっています。
これについては色々な議論ができますが、お金がないので払い切れない、というのが実際のところなので、正しいか正しくないかを議論しても仕方がないことなのです。
結果として、特許切れを迎えた新薬を持っているメーカーで、それの後継がない場合、企業として成長できず、会社を守るためにリストラをせざるを得ないのです。
タイトルに出ている大日本住友製薬はそれの典型です。ラツーダという新薬が特許切れを迎えたたのに、それを補えるものがないのです。だからリストラ。
スズケン系列の三和科学も同じような状況です。
MSDは少し状況が違うようで、米国親会社の指示のようですね、、、、しょっちゅうリストラしていると聞きますが。やはり生き残りのためのリストラでしょう。
いずれにせよ、製薬企業は儲かっているので憧れの就職先になっているのですが、実はそんなに甘くないのです。
これからどんどん特許が切れていきます。
中堅どころの企業で生き残れるところは多くありません。どんどん切り売りが始まっています。
大手と言われるところでも盤石ではありません。でも、外から見ていてどこがこの先、生き残れるかなんてわかるはずありません。なぜか?
既に製薬会社の業態が変わりつつあるので、今までの延長線上では予測困難になってきているのです。
内部の人間だってわからないのですから。それくらい新薬の開発が不透明になっているということです。
今後製薬会社のMRで生き残れるのは、抗がん剤専門のMRくらいではないでしょうか?