薬粧連合?製薬会社のリストラと労働組合、あなたにできることは?

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製薬会社では大手を中心にリストラが続いています。

これまでにも当ブログでは、製薬会社のリストラやMRのリストラについて言及していますが、日本の製薬会社の置かれた状況を鑑みますと、今後もしばらくリストラの嵐が収まる兆しはなさそうです。

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そのような状況下で製薬産業としての産業労働組合が発足されました。

果たしてこの連合組合は製薬産業で働く人たちのためになるのか?

はたまた再生とさらなる飛躍を目指す製薬企業にとって福音となるのか?

今回は製薬産業のリストラについて労働組合の観点から見ていきましょう。

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薬粧連合の発足は製薬会社社員に福音なのか?

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薬粧連合なるものが発足しました。製薬産業の産別労組です。

これまで製薬産業では、企業個別の労組が活動していましたが、この度12労組が一緒になって、「医薬品化粧品産業労働組合連合会」を結成したのです。

加盟したのは、第一三共、アステラス製薬、中外製薬、エーザイ、塩野義製薬、大日本住友製薬、三和化学研究所、Meiji  Seikaファルマ、ツムラ、ジャパンワクチン、阪大微研、非公表企業の12社です。

ほぼすべてが、リストラを実施したか、予定しているか、断行されることが予想される企業です。

初代会長は、「雇用安定化に対応していく必要性があり、(各企業組合が)協力できる場にしていかなければならない」と述べています。

確かに、安定的な職場という環境を期待して製薬産業に勤める労働者としては、現況は気が気ではないでしょうし、雇用確保を目指したいという悲鳴にも似た気持ちが伝わってきます。

では、この連合は労働者の役に立つのか、という視点で考察してみます。

過去の製薬企業リストラから考察する労働組合の役割

これまでにもあまたの製薬企業がリストラを実行してきました。

米ファイザー社や米メルク社が外資としては結構大きな話題となったリストラを断行しましたね。

国内企業では、山之内製薬のリストラも業界では話題を呼びました。

特別退職金が半端ではなかったですからね。

その後、この山之内製薬の退職金が他の企業のリストラ時の参考事例とされてしまいます。

他の産業では、特別退職金は数ヶ月から1年程度と報じられていますが、当時の山之内製薬は、なんと最大60ヶ月、5年分も出したのですから、びっくりですよね。

これだけ出せば、労使紛争も起きずにすんなりとリストラできますよね?!

(辞める立場としては、そんな簡単ではないでしょうが、当時は辞めてもすぐに別の製薬会社に就職できたのです)

ファイザー製薬のリストラ

さて、その後ファイザー製薬が日本で最初にリストラを行った時には、組合を中心として大きな騒ぎになったことを覚えておられる方も多いのではないでしょうか?

業界紙にも大きく取り上げられ、企業イメージは相当傷ついたはずです。

結局当時の社長は更迭され、引退した元役員が急遽社長になり、労使間の話し合いにより決着を見ました。

あの時もしファイザー製薬に労働組合がなければ、お粗末なリストラ策は断交されていたのでしょうか?

この辺りは「たられば」の世界になってしまいますが、労働者が不利な条件で解雇されていた可能性もあります。

その意味では労働組合の存在は労働者にとって意味があると考えることができます。

萬有製薬(MSD)のリストラ

一方ファイザー製薬のリストラが行われた後に行われた MSD(萬有製薬)の場合は、若干様相が違っていました。

その当時の萬有製薬には労働組合は存在しませんでした。

しかしファイザー製薬の騒ぎで、お粗末なリストラ策が企業のイメージに与える影響の大きさを知った経営陣は、 周到に準備を行い大きな騒ぎを起こすことなくリストラに成功しました。

今の時代、情報はすぐに駆け巡ります。

「山之内製薬がリストラで60ヶ月分の特別退職金を支給した」

「ファイザー製薬の特別退職金は、XXヶ月分だった」

このような情報はすぐにリークされ広まります。

たとえメディアが書かなくても、ツイッターのような SNS で流布されます。

今の時代、理不尽な早期退職制度では、退職の対象になった社員たちは納得しないでしょうし、騒ぎとなります。

そのことは、経営陣も理解しているでしょう。

労働組合に何を期待するのか

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一人では戦えない、だから労働組合が必要なのだという意見もあります。

ですが当ブログでも紹介していますように、指名解雇は法律違反です。

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条件が合わなければ退職しなければいいのです。

また、

リストラをしなければならない状況に陥っている企業としては、紛争にならないレベルの条件をあらかじめ決めて実行に移すのが最近の状況です。

労使紛争になれば企業として大きなマイナスイメージを被るからです。

労働組合が頑張ってもリストラ策を撤回させるような交渉は実現しません。

その意味では、労働組合が代表して使用者側と交渉して良い条件を引き出すというのは、 あり得ないとは言えませんが、あまり過度な成果は期待できないでしょう。

一方で、製薬産業が厳しい状況に置かれつつあるとはいえ、まだまだ内部留保金を十分に保っているのが製薬企業です。

早期退職制度によって、会社を去る社員が募集される機会はこれから増えていきます。

しかし、条件が提示され、再取職の斡旋を提供されることがほとんどです。

いきなり理不尽なリストラ策でクビにされ路頭に迷うということは考えづらいです。

もちろん、このような環境変化に合わせて、個人として十分な準備をしておくことが自分の身を助けることになります。

労働組合に頼っている時点で、将来は明るくないと考えるべきかもしれません。

終身雇用制度はとっくの昔の崩壊しています。

今の時代、雇用の安定を求めるのではなく、分で稼ぐ力をつけることが求められているでしょうね。

リストラとは

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リストラとは、企業が生き残り、発展するための構造改革です。

必ずしも、社員の解雇が目的ではありません。

企業が新たなステージに進むためには、企業自体の構造改革が必至です。

これまでの延長線上に未来はなく、培ってきたインフラを捨て去って、新たな発想、新たな研究テーマ、新たな設備、新たな取り組みをしなければ、取り残されることになります。

業界は違えども、ITの急速な普及によってどの企業も大きく変化する産業構造に早急な対応を迫られています。

トヨタとソフトバンクの提携

KDDIと楽天の提携

アステラス製薬の製薬外事業への取り組み

武田のシャイアー買収

いずれも、生き残りをかけたリストラなのです。

構造改革を迫られる製薬産業

多くの企業は生きるか死ぬかの瀬戸際にいます。

いや、そんなことはないという方もいるでしょうが、それは気づいていないだけで、今手を打たなければ、多くの企業は生き残れないでしょう。

それほど全産業が大きな変換期にあります。

それは取りもなおさず、インターネットとAIの目覚ましい進歩がもたらした産業革命です。

それが分かっている経営者はあらゆる手を打ちはじめています。

経営者は企業を存続させる責任があるのですから。

製薬産業においては、インターネットやAIの進歩に加え、研究テーマの大きな変化と法規制強化、保険財政の逼迫が、変革を余儀なくされる所以です。

つまり、これまでの経営方法では、将来立ち行かなくなるのが明白なのです。

 

  • 開発される新薬の高度専門化
  • 再生医療や抗体医療などの新しい技術の必要性
  • インターネットや AI の普及による情報伝達の迅速化、患者さんの知識向上
  • 薬剤費高騰による価格抑制圧力
  • C 型肝炎治療薬に見るような根本的治療薬の導入による、 薬剤のあり方の変化
  • 法規制による MR の活動制限強化
  • 新薬開発費用の高騰
  • ミートゥー新薬の償還拒否
    など

 

産業としての構造が変化を余儀なくされているのですから、一企業としてリストラを避けて通るわけにはいきません。

もちろん、新薬がヒットして、当面リストラとは無縁の勝ち組企業もありますが、ごく限られた企業であり、その他多くの企業には当てはまりません。

ブラック企業には労働組合は有効

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製薬産業の中では、ブラック企業の話はあまり聞きません。

ですが、弱小メーカーではブラックと言われるような行為があるかもしれません。

社外に公表することなく、ひっそりと指名解雇に近い形でリストラを断行している企業も存在するでしょう。

そのような場合には労働組合は役に立つのかもしれません。

一方で、連合を組んで大きくなってしまった組合が、一企業の数名数、数十名規模のリストラに対してどこまで力を発揮できるのか?

あるいは、個人的な労働問題について対応できるのか?ということには疑問符がつきます。

また、弱小メーカーの場合、企業組合がないことも多いです。

もしあなたが、労働問題で本当に困っているのでしたら。

そして理不尽な条件で退職を余儀なくされることに不安であれば。

個人でも労働組合には加入できます。

月会費1000円のジャパンユニオンという組織です。

おそらく、薬粧連合はこのような個人加入にまでは対応できていないでしょうから、不安な方はどうぞ参考にしてください。

ジャパンユニオン

 

まとめ

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製薬産業においてリストラはこれからも行われます。

いやむしろ加速すると考えてよいでしょう。

環境がそうさせているのですからこれは避けて通れません。

そのような環境下で、連合を組んだ労働組合が使用者側と交渉をして雇用の安定化を図ることは、至難の技でしょう。

昔ながらの感覚で、雇用の維持を求めて労使紛争になるようでは、 存在意義はありません。

力で雇用を守っても、体力がなくなって企業自体が存続できなくなれば意味がないのですから。

リストラを行わなければならないような状況下において、より良い条件を引き出すことに主眼を置くのでしょうか?

その存在意義はこれから問われるところでしょう。

むしろ企業に勤める従業員としては、自分がどこに行っても通用する能力を身につけることに精を出すことをお勧めします。

本を読んで知識をつけ、自分の技術を磨き、自己能力を高めてください。

個人的には労働組合というものは既に過去の遺物だと考えています。

自分の生活や自分の人生は自分で守らなければならないのです。

自分の力で切り開かなければなりません。

終身雇用制度がとっくの前に終わっている日本の雇用環境です。

自分を磨いて自分の人生を輝かしいものにしてくださいね。

リストラでは早期退職制度が採用されるでしょう。

その際、就職斡旋制度も利用できるはずです。

ですが、実際にはなかなか再就職が決まらず、職に就けるのに1年以上を要したという話も少なくありません。

そのような状況を避けるために、日頃からリクルートエージェントとコンタクトを取ることは有用だと思います。

経験上、自分の価値を知り、いざという時に助けてくれる「担当者」を持っておくことをお勧めします。

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ただし、これらはこちらからアプローチしても相手にされないので、実力をつけて、コンタクトされるのを待ちましょう。

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