MRの将来性はない!?不要論て何?生き残りのための考え方

新薬の種が減少してきた製薬産業では、リストラの嵐が吹き荒れています。
リストラとは必ずしも人の削減だけではありません。
企業の構造を変更して、再構築することにより、さらなる成長を図るものです。

ですが、往々にしてリストラにおいては人の削減が避けて通れないものです。

特に製薬産業では、MR=医薬情報担当者と言われる営業職の数がとても多いのです。
一時の生命保険産業を除いて、営業職の数の割合が総従業員の50%程度を占めるような産業はほとんどありません。

過去はここまで多くなかったのですが、某米国企業のマーケティング戦略としてシェアオブボイスが一般的になり、あれよあれよという間に MR の数が増えてしまったのです。

そして現在は、その歯車が逆に回ろうとしています。

巷では MR 不要論が叫ばれています。

では MR は本当に不要なのでしょうか?

今回は MR の必要性と将来性についてまとめてみます。

MR 不要論が起こる背景

geralt / Pixabay

なぜ MR 不要論などというものが起こってきたのでしょうか?

MR の数が多すぎるというのがひとつの理由でしょうか?
確かにそれは理由の一つとして考えられます。

ですが MR 不要論が起こってきたことには背景があるのです。
最も大きな要因は、倫理的観点からの MR 活動の規制です。

日本の MR は、海外の MR と比較して優秀であると言われていました。

自社品について知識を蓄積し、他社品についても十分な知識を有していました。
優秀な MR は、自社が扱う製品の領域外の知識も旺盛に吸収していました。

また医薬品情報に限らず、雑学を得て、多忙な医師に多角的に情報を提供できていたのです。

ですが、一部企業の営業部門に対するプレッシャーが強く、売らんがなの活動になっていきました。

接待攻勢は当たり前。

スイスの医薬品メーカーのノバルティスは、自社製品を売り込むためにディオバンと言う売れ筋商品の臨床データを改竄してしまいました。

日本のトップメーカーである武田薬品工業においてさえ、CASE-J事件と言われる、同様の問題を起こしてしまいました。

企業ぐるみの不正です。

これらの事件が相まって、MR の活動はますます規制されて行くことになったのです。

  • MR の接待禁止
  • 医師へのプレゼントの禁止(冠婚葬祭であっても禁止です)
  • 自社品に関係しない文献提供の禁止
  • 最新の学会情報の提供禁止(公知情報として公開されていない情報は提供できません)
  • 新薬の臨床試験情報提供の禁止

つまるところ、自社のホームページで提供しているような情報、添付文書に書かれているような情報以外を提供することは、原則禁止されてしまったのです。

倫理観を持った活動をするということは言わずもがなですが、ここまで来るとMRというものの存在価値自体に疑問を持たざるを得なくなってしまいます。

毎日病院に訪問して 、MR は一体何の情報を提供するというのでしょうか?

これはMRの怠慢ではないのです。

これは業界団体が策定したプロモーションコードなのです。

MR は不要なのか

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インターネットのあちらこちらのサイトで MR 不要論が語られています。
しかしある意味視点がずれているようにも思います。

MR が不要というのは一体どの視点で考えているのか?
それによって結論は変わってきます。

厚生労働省の視点=MRは必要

医薬品の普及においては、その効能や副作用について正しい情報を伝える必要があります。
その観点で言えば、MR=医薬情報担当者は必要ということになるでしょう。

また製薬企業は、副作用情報の収集が義務付けられています。
その役割を担うのはMR ですので、数の問題は別として、厚生労働省としては MR が不要であるとは言えないでしょう。

財務省の視点=MRは必要ない

日本の国家財政は危機的状況です。超高齢化社会を迎え、社会保障費は増加の一途です。

国の財政を預かる財務省としては、可能な限り社会保障費を削りたいのです。
その観点からは、財務省にとっては MR は不要なのです。

医師の視点=MRの必要性は低い

医師は多忙を極めています。

日本の医療は国民皆保険制度の中で営まれています。
私立の病院であっても、開業医であっても、保険診療外の治療をしなければ、収入源は保険の償還です。

一概には言えませんが、勤務医として務めている限り、一般に思われているほど医師の収入は高くありません。そして多忙です。

都会の一部の病院を除き、多くの医師は専門外の患者を診療する必要にも迫られています。

その観点からは医薬品の情報を MR から得たいと思う医師もいます。
自分自身で調べる時間がないので、特に自分の専門外の薬剤に関する情報について欲しているのです。

ところが製薬会社は全く別の行動をとっています。

例えば循環器専門医を訪問する際に、MR には循環器領域の勉強をさせます。
しかし循環器専門医は循環器については十分な知識を持っているのです。MR から入手しなければならない情報などありません。

かくして、 MR は毎度同じように自社の製品の宣伝だけに時間を消費することになります。

つまりこのような MR は、医師にとって必要がありません。

ちなみに、接待を受けたからとか、プレゼントをもらったからといって、その会社の医薬品をより多く使うという医師はほとんどいません。

接待を通じたり、情報のやり取りをして、その MR の気心が知れるようになり、その MR の言葉が信じられるかどうかによって薬剤を選択の一助にしているのです。

 

薬剤師の視点=MRの必要性は低い

薬剤師は薬剤のプロです。
従って非常に専門的な情報を必要としています。ありきたりな情報では意味がないのです。
ところが、昨今の MR は自社医薬品の添付文書情報でさえまともに答えられない、と言われています。

さらに自社医薬品と他社医薬品との相互作用等を聞かれても、即答できる MR は数えるほどもいません。

この観点から、薬剤師にとっては MR の必要は低いものになるでしょう。

製薬会社の視点=MRは必要

製薬会社は高給を支払って MR を雇用しています。なぜでしょうか?
答えは簡単です。売上を上げるためです。

冒頭に述べましたように、あくまでマーケティング戦略の一つとして MR の数を増やし、より頻繁に医師にリーチすることで自社医薬品の売り上げをあげようと図ったものです。

現時点では、国営の製薬会社はありません。自ら利益をあげなければ倒産してしまうのです。
売上を上げようとするのは当然のことです。

折しも、Share Of Voice 戦略を始めた外資系製薬会社日本法人代表は以下のように述べています。

 

「当社が自らシェアオブボイス戦略を止めることはない。今後もこの戦略は有効であると考えている。」

 

確かに、自ら医師に対する接触手段を減少させることは、売上の減少に直結すると考えられます。

例え医療業界のステークホルダーに不要だと言われようが、法律で禁止されない限りは MR を医療機関に送り込むことになるのでしょう。

ただしそのことと

現場の MR の数を維持することは別の話になるでしょう。

自社製品の状況と数に応じて、何人の MR を維持するのかは各企業の戦略になります。

各企業はこれまでの生活習慣病から、がんや免疫疾患と言うより高度な治療情報が必要な領域にシフトして行っています。

この領域では、必ずしもシェアオブボイスは必要ではないのです。

結論として、製薬企業にとって MR は必要です。

ただし、現在の MR 数を保持するとは考え難く、今後減少していくものと予測してよいでしょう。

MRからMSLへ

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北欧ではすでにMRの訪問を全面的に禁止して、MSLのみが病院内に立ち入れるような状況になっています。
米国でもMRの数が減少しています。

そして我が国でも MR の MSL への配置換えがすすんでいます。

MSLとはMedical Science Liaisonの略で、営業部門ではなく研究部門や学術部門に属している社員です。

営業部門に属していないということで、MR が禁止されている情報提供が可能になります。

例えば他社医薬品情報や文献の提供、学会情報や、臨床試験に関わる情報の提供などです。

MSL には営業目標はありません。売上の追求もありません。
しかしその活動を通じて、間接的に自社製品の売上が上がることを期待していることは明白です。

売上目標のない究極の営業職、それが MSL なのかもしれません。

MR は売上を追求されてきました。セールス話法として、自社品を使っていただくクロージングというものが重要視されてきました。

どの業界でも営業職はクロージングを行います。「買ってください」、「契約してください」、「使ってください」というものです。

ところが、製薬会社の MR は契約をしません。医薬品を買ってもらうこともありません。売るのは医薬品卸です。

あくまで自社品に関する情報を提供する役割がMRの仕事だったのです。したがってその MR のクロージングは「自社品を使ってください」というものでした。

今後 MR がMSLに取って代わられる状況を考慮すると、医薬品の営業職はクロージングのない究極の営業職になるのかもしれません。

 

まとめ

cocoparisienne / Pixabay

以上見てきましたように、MR が不要であるという乱暴な結論にはなりません。
ですが、必要とされる MR の資質は相当大きく変わっていくでしょう。

場合によってはほとんどの MR 職は MSL に取って代わられる日が来るのかもしれません。

そして新薬発売の時に限り、コントラクトMR を雇うというような事業モデルになっていく可能性も考えられます。

業界自ら規制を強化し MR の活動を制限しているのです。

その一方で MSL の活動は容認しています。ある意味矛盾していますがこれが現実です。

MR の将来がどうなるかは企業戦略次第です。

自分が癌専門の MR になりたいと思ったとしても、自社内での異動は容易ではありません。狭き門です。

さりとて現在抗がん剤やバイオ医薬などに対する深い知識がない状況で、他社に転職することも簡単ではありません。

現在あなたが MR なのでしたら、生き残りをかけて自ら努力するしかありません。

今後 MRから MSL への配置転換は間違いなく増加していきます。

ですが、ある財団などは、MSLは医師や薬剤師などの医療資格を持ち、少なくとも博士号を取得している人材が望ましいと、公言して憚りません。

この意見にはある意味バイアスがかかっているでしょう。

ですが、MRが簡単にMSLに異動できるものでないことも確かです。

あなたが今できることは、そのチャンスが来た時に選ばれる人材として認められる知識と、人としての資質を磨くということです。

MR 職はもはや安定した職業ではありません。

自ら努力する者だけが生き残れる世界になっていくでしょう。

自分の人生は自分で切り開く必要があります。

今回の記事があなたの人生を考える一助になれば幸いです。

あなたがすでに40代なのでしたら、なんとか自分を磨いて、生き残ることを考えてください。

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