製薬会社の決算数字から読める今後のリストラ可能性|どの会社が?

製薬会社各社の2018年第2四半期決算報告が入手可能になりました。

他の産業に比較して、これまでディフェンシブ銘柄として株式投資では人気が高かった製薬産業ですが、ここに来て企業間の格差が大きくなってきているようです。

このブログでも製薬会社のリストラについていくつかの記事をあげています。

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薬価が強制的に引き下げられ、国内市場の伸びが期待できない産業ですので、その経営方針によって未来は随分変わるでしょう。

 

リストラとは、企業の構造転換なので、このように産業構造自体が変革している時には避けて通れません。

今回は入手できた契約会社各社の決算状況から、今後のリストラの可能性について考察してみます。

第二四半期決算報告から読む製薬各社の健全性

まず最初にこの表をご覧ください。

単位は100万円、2018年2Qの連結決算データです。

左の数字よりも、右の%に注目してみていきます。

例えば、武田薬品の場合、

海外売り上げの全売上に占める比率は69%、原価率が26%、販管費が33%、研究開発費が17%、そして営業利益が20%となっています。

製薬会社は、ライセンス一時金が入ってきたり、逆に支払ったり、M&Aを行うことも珍しくなくなったので、2Qの結果だけで全てを見通すことはできませんが、参考にはなります。

これらの絞ったデータから、それぞれの会社の状況を読んでみましょう。

大手国内製薬会社の経営状況を読む

武田薬品工業

海外売り上げ比率は高めで、日本依存が比較的小さいことから、伸び代はあるように見えます。ただし、販管費が高めですので、今後なんらかのリストラ発動される可能性は否定できないでしょう。

さらに、シャイアーの買収はさらに海外比率を高めるものの、それによって自社製品が売れるわけではありません。

M&Aを実施すると言うことから、大規模なリストラがあっても不思議ではありません。

すでに研究所や拠点の統廃合が発表されています。

アステラス

このデータからは、非常に健全に見えます。ただし、販管費が高いので、なんらかの策が必要になるか、新薬の売り上げでそれを埋めあわせるか、と言うことになるでしょう。

第一三共

 
新薬トップメーカーの一角ですが原価率が高いですね。さらに販管費も必ずしも低いとは言えません。
 
海外売上比率も大手企業としては冴えません。
 
結果として営業利益率も低い部類に入っています。
 
近々に何らかの大きな策を講じる必要があるように見えます。
 

エーザイ

 
海外売上比率はそこそこですが、販管費は高い部類に入ってしまいます。
 
今期においては営業利益率も低い部類です。米国メルク社に導出した新薬候補が今後どれだけ寄与するかに注目したいところです。
 

大日本住友製薬

 
今期においてはまだ海外売上比率は高い状態です。
 
しかし、すでに海外での主力品の特許が切れていますので、今後その比率は急減することが予測されます。
 
最も注目すべき点は販管費が高すぎるというところです。
 
早晩、メスを入れざるを得なくなるでしょう。
 

田辺三菱製薬

 
この会社は新薬メーカーにしては原価率が高すぎますね。
 
また海外売上も低い割合です。
 
ただし販管費はすでに相当絞られています。
 
その意味ではリストラによって利益を絞り出す余力はあまりないと考えられます。
 
今後どのようにして新薬を確保するのかが課題になるでしょう。
 
 

塩野義製薬

 
これまでの海外からのロイヤリティ収入が自社創生品から来ていたので、 海外売上比率も高く原価率も低い状況です。
 
ここだけを見ればとても素晴らしい状況です。
 
しかしすでに主力品の特許は切れています。
 
 
それにもまして大きな問題は販管費大きすぎることです。一時的要因であればいいのですが、、、、
 
手代木社長が大規模リストラを口にされるのも致し方ないことでしょう。
 
 
何らかの大きな手術が必要になると思われます。
 

中堅以下製薬会社のリストラの必要性

geralt / Pixabay

 
以上日本における大手製薬会社の状況について一つ一つ見てきました。
 
今回の解説は、あくまで2018年第2四半期の決算発表データのスナップショットからのみの推察です。
 
一時的要因は加味しておりませんので、ご了承ください。
 
大手製薬会社については、販管費が高い会社が散見されますが、まだまだ体力はあると思われます。
 
体力があるうちに何らかの策を打たれることでしょう。
 
しかし体力に劣る中堅以下製薬会社は、今後さらに厳しい状況に面することになると思われます。
 
会社のデータから下記を参考にリストラの可能性を考察してみてください。
 
 
データの見方として、海外売上比率の高さは非常に重要です。
 
冒頭で述べましたように、日本市場での伸びは期待できません。
 
免疫チェックポイント阻害剤のような、これから期待される新薬を手掛けられるメーカーでなければ、もはや生き残りは困難です。新薬がなければ、規模の大幅縮小か、業態変更が必要になるでしょう。
 
次に見るべきポイントは原価率です。
 
製薬会社で原価率が30%を超えていると、要注意と思った方が良いでしょう。
 
これが高いと十分な研究開発費も捻出することが困難になり、生き残りがますます難しくなります。
 
そして最後に販管費に注目してみてください。
製薬会社の販管費の多くは MRの人件費から来ています。
 
 
特に国内の伸びが期待できないのであれば、経営陣としてはここに手をつけざるを得なくなります。
 
 
 

後発医薬品大手

後発品メーカーの分析は新薬メーカーとは異なります。
 
原価率が高いのはやむを得ません。何しろ薬価が安いのですから。
 
とは言え日医工の原価率の高さ、そして営業利益率の低さが気になるところです。
 
また、これまで自販策を取っていた東和の販管費の高さにも注目すべきでしょう。
 
2019年以降、後発品メーカーの淘汰が始まると言われています。
 
各社どのような策を打ってくるのか、注視したいところです。
 

まとめ

今回は2018年第2四半期の製薬会社各社の決算発表データを用いて、経営健全性を分析してみました。
 
製薬会社は今大転換を迫られています。
 
これまでの延長線上に未来がない産業の一つです。
 
なんらかのリストラは必至です。
 
研究テーマ、研究方法がこれまでとガラリと変わってきています。
 
2019年以降 MR の働き方も大きく変わると言われています。
 
これまでも 「MR は必要ない」と豪語する医師が増えてきていましたが、2019年以降はその傾向がますます強まると思われます。
 
 
自ら課すことになるプロモーションコードによって、製薬会社の営業は大きく変わります。
 
もしあなたがこの業界に関わっているのでしたら、販管費率に注目して見ていてください。