日本の公的年金システム。なんとなくわかるけれども、よく分からない、そんな感じでしょうか?
どうせまともにもらえないんでしょ?
これからの時代は、公的年金と退職金だけでは到底生きていけそうにないよね。
そもそも計算がよくわからないよ。あの計算合ってるのかな?
私の周りで実際に聞こえてくる会話です。
確かに過去のように十分な年金はもらえそうにありませんし、諦めの心境になるのも理解できます。
それでも、自分が働いた給与から支払った年金なんですから、どれくらいもらえるのかは知っておきたいですよね。
ところが、この年金手取りの計算は意外と難しく、実際に将来どれぐらいの年金をもらえるのか?それはその時の物価を考えてどれくらいの価値なのか?がよくわからないのが現状です。
そこで今回は、実際どれくらいの年金がもらえるのか、物価やこれからの年数を考えながら解説するとともに、減額される年金額を考えつつ、その対策についても書いて行きます。
年金に対する不安がいくらかでも解消できるような記事にしましたので、是非最後まで読んでくださいね。
日本の年金、なぜ計算がそんなに難しいの?
日本の年金システムは基本的に二階建てと言われています。
一階部分は国民年金で支払われる年金。これを基礎年金と言います。
二階部分は、 会社員や公務員など企業に勤めている人が加入する厚生年金による年金です。これを老齢年金と言います。
これだけでも複雑なのですが、年金支給額の計算を複雑にしているのは、大きく分けて二つの要因があるのです。
一つ目は、計算の基礎が給与所得者時代の平均給与を基に計算するということです。
若い頃は給料も少なく、その後役職につけるかどうかで給与も変わってきます。 40年近い給与所得者時代の平均給料を予測するというのは至難の技どころではありません。
二つ目は今後の経済状況に応じて順次老齢年金部分が減額されるということです。(マクロ経済スライド=後ほど説明します)
今から数十年先の経済状況を読まなければいけません。それは不可能に近いと言って良いのではないでしょうか?
これらを考慮して将来もらえるであろう年金額を計算することになります。
日本の年金、実際のところどれくらいもらえるの?
年金制度は都度変更されますので将来の保証はありません。
但し、現時点では昭和36年生まれの人から、支給の開始が65歳になることが決まっています。
なので今回は、昭和36年生まれの一般的(全業種平均)なサラリーマンの人と、現在30歳の一般的なサラリーマンの人の年金支給額を調べて比較してみました。
最近は生涯独身の人も増えていますので、最初に独身の方のシミュレーション。それに続いてモデル世帯と言われる家庭のシミュレーションをしてみました。
今回使ったのは、下記サイトのシミュレーターです。
まずは、1961年生まれと1988年生まれの比較。両者とも配偶者なし、〜999人までの企業に勤め、60歳まで満額年金を支払ったと仮定しています。
(万円) | 1961年生まれ | 1988年生まれ | 増減額 | 増減% |
老齢基礎年金 | 77.93 | 77.93 | 0 | 0% |
老齢厚生年金 | 117.51 | 87.72 | -29.79 | -34% |
合計 | 195.44 | 165.65 | -29.79 | -18% |
65~受取月額 | 16.29 | 13.80 | -2.49 | -18% |
66~受取年額 | 195.44 | 165.65 | -29.79 | -18% |
いかがでしょうか?このようなサイトを使えば簡単に年金の計算はできます。
現在57歳の独身サラリーマンの人は、65歳から195.44万円
現在30歳の独身サラリーマンの人は、65歳から165.55万円
という計算になりました。
ただし年金の価値を考えるのなら、物価を考慮する必要がありますね。
政府はインフレ目標を2%においているのですから、その通りにならなくても、物価は今より上がっているでしょう。
現在30歳の人が年金をもらえるまで、残り35年あります。年間1%ずつ物価が上昇していくと仮定すると、約42%物価が上がります。
現在100円のパンが、35年後には142円になる、、、単純計算ではそうなりますが、感覚としてはそんなレベルではなさそうですよね。
ちなみに、平成27年を100として、平成29年の消費者物価指数は100.5でその30年前、昭和29年の消費者物価指数は24.4でした。つまり過去30年で、物価は4倍になっています。
参考:日本銀行
将来の物価を予測することは不可能ですが、現時点で言えることは、物価がいくらか上がって、年金の価値は確実に低下するだろうということです。
しかも、上記金額は手取りどころではありません。年金からも健康保険料や介護保険料が引かれます。
上記レベルであれば、現在の税制では所得税や住民税は引かれません。ですが、年金支給額が多い人は所得税や住民税も引かれます。
1961年生まれ、現在57歳の人で年金支給額が月16.29万円。ここから社会保険料、つまり健康保険や介護保険料が引かれます。その額はざっくりと5%。そうすると、手取りは15.5万円になります。
たとえ持ち家で家賃が必要なくても、生きていくのがやっとのレベルですね。
さらに残念なお知らせがあります。
上記シミュレーションでは、あとで解説するマクロ経済スライドによる年金減額は計算されていません。
つまり、シミュレーション通りの金額は支給されず、それよりも間違いなく少なくなるということになります。
そう考えると、今から30〜40年後の年金支給となると、上記計算もあまりあてにはできそうにありませんね。
ではどうすればいのか?少し掘り下げてみてみましょう。
そもそもの日本の年金システムとは
上記のように、30〜40年後の年金支給額を見積もることは難しく、予測できることは、その年金だけで生きていくことは困難であろうということです。
なぜ、きっちりと給料から年金掛け金を支払っているのに、生きていけるだけの支給がないのでしょう?
この疑問に答えるために、ここでもう少しだけ日本の年金システムを勉強しましょう。
そもそも日本の年金システムは、「世代間扶養の賦課方式制度=仕送りシステム」なのです。
つまり、自分で掛けた年金掛け金を国が運用して、決められた年齢になるとそれを年金として支給して貰える、というシステムではないということです。
自分たちが現在掛けている(支払っている)年金は、年金機構で運用されますが、そのお金は現在の年金受給者への支払いに当てられるのです。
そして、自分たちが年金を貰う立場になった時は、その時の現役世代の支払いと国の負担で年金を受け取るという仕組みです。
しかし日本は、世界に類をみない、超少子高齢化が確実視されています。
つまり、現役世代が減って、年金をもらう老人が増えていくのです。
結果として、その時点での現役世代の負担が大きくなりすぎ、支払不能になることが予測されています。
それを解消するために、マクロ経済スライドというシステムを入れて、年金の支給額を減らして年金制度自体が破綻することを避けようということになったのです。
ところで、マクロ経済スライドとは何?
マクロ経済スライドとは平成16年、小泉政権時に成立した新法案です。
このマクロ経済スライド。
これは、未来予測の中でも最もその予測確率が高いとされる「人口動態予測」に基き、将来の超少子高齢化社会の到来を想定して、年金システムが破綻しないように策定されたものです。
「年金システムが破綻するのがいいのか、維持できるのがいいのか?二者択一だ!」と小泉さんがいったかどうかは定かではありません。
ですが、それほど切羽詰った難題であることは間違いありません。
このシステムを簡単に言いますと、「物価が上昇しても、少子高齢化を考慮した分、年金の上昇率を抑えますよ(おおよそ0.9%)。
例えば、物価が2%上がっても、0.9%(その時の計算によってこの数字は異なります)差し引いて、年金は1.1%だけ増やします(スライド調整)」というシステムなのです。
そして、物価の上昇が小さい、あるいはデフレで物価が下がる場合、年金はスライド調整による引き下げは行われず、物価連動分のみの変更になります。
出典:厚生労働省年金局数理課
ただしこれでは、インフレ目標が達成できない日本ではいつまでたっても、財源の健全化ができなくなります。
その対策として2013年12月に「社会保障改革プログラム法」なるものが成立しました。
せっかく作った新システムなのに、うまく機能していないということですね。
「社会保障改革プログラム法」では、デフレ時にも物価の下落分に加えて、調整分を減額することも検討されました。
しかし結局、デフレ時には発動させず、その調整分を持ち越し、大きく物価が上昇した時にその持ち越し分も合わせて引き下げる案となりました。
開始は2018年度から。
2018年度年金支給は、物価が0.5%の上昇、しかし賃金改定率がマイナス0.4%であったので、年金支給額の変更は無し、となりました。
ただし、マクロス経済スライドで本来引き下げるはずであった0.3%が持ち越しとなり、将来物価が上昇した時に合わせて引き下げられます。
これは2018年度以降毎年実施されます。
つまり、今現在、将来の年金支給については予断を許さない状況に変わりはないということなんです。
これでは、若い現役世代の人たちはやってられないですよね。
現在政府で検討されていること
現在政府では識者を集め、5年に一度マクロ経済スライドのあり方について検討しています。
争点はマクロ経済スライドのフル稼働。
つまりデフレがあろうがなんだろうが、毎年調整分は年金を引き下げていく、と言うものです。
政府の思惑は、マクロ経済スライドのフル稼働で所得代替率50%を確保することです。
所得代替率50%とは、モデル世帯#が年金を支給される時点の現役世代男子の手取り収入の50%を支給できるようにしたいということです。
#:モデル世帯とは40年間厚生年金に加入し、その間の平均収入が厚生年金(男子)の平均収入と同額の夫と40年間専業主婦の妻がいる世帯と定義されています。
では、上記モデル世帯で再度シミュレーションしてみましょう。
世帯主 | 1961年生まれ | 1988年生まれ | 増減額 | 増減% |
老齢基礎年金 | 77.93 | 77.93 | 0 | 0% |
老齢厚生年金 | 148.8 | 122.25 | -26.55 | -22% |
合計 | 226.73 | 200.18 | -26.55 | -13% |
配偶者 | ||||
老齢基礎年金 | 77.93 | 77.93 | 0 | 0% |
老齢厚生年金 | 0 | 0 | 0 | 0% |
合計 | 77.93 | 77.93 | 0 | 0% |
夫婦合計 | 304.66 | 278.11 | -26.55 | -10% |
1988年生まれのモデル世帯の手取りは、1961年生まれと比較して、26.55万円減少、-10%です。
金額として、夫婦二人で278.11万円。
悪くないですか?
ですが、もう一度この記事を読み返してください。
この予測にはマクロ経済スライドの減額は入っていません。
35年後の物価上昇も考慮されていません。社会保障の減額も考慮されていません。
つまり、残念ながら現在利用できるシミュレーションはあまり役に立たないと考えたほうがいいということです。
他のブログでは、下記のように書かれています。
政府の試算によると、現在の標準世帯の(40年間給与所得者で平均的給与の夫と、専業主婦)年金額は262万円。これを20年程度かけて現在の価値で206万円程度に減額させるというのが現在の政策です。引用:ファイナンシャルフィールド
随分と違いますよね。上記の試算ですと、21%ダウンです。
これはマクロ経済スライドを加味しています。
しかし、これも政府の思惑であり、経済状況によってどうなるかは分からないと言うことです。
では、どれが本当に貰える年金額なのでしょう。ますますよく分からなくなりますね。
唯一の頼りは、所得代替率50%でしょうか?
年金支給年齢の時の現役世代男子の手取り額の50%。(30〜40年後の手取り額を予測するのはほぼ不可能だと私は思います)
30〜40年後の現役世代がどれくらいの手取りを得ているかはわかりません。
ですが、手がかりにはなりそうですね。
現在の年金支給額は、所得代替率として64.1%です。所得代替率が50%になるということは、22%減額です。
1961年生まれモデル世帯の人が現在もらえるであろう年金がシミュレーションによると約300万円。これの22%は、66万円ですね。
物価が1.5倍になると仮定すると、66万円x1.5=99万円
65歳から90歳まで生きると仮定して、25年分必要ですから、99万円x25=2475万円(その間の物価上昇は考慮せず)
同様に必要な貯蓄額が、3000万円x1.5=4500万円。
これらを合計すると、4500万円+2475万円=6975万円の貯蓄が必要ということになります。
とてもラフな計算です。仮に計算してみました。計算だけなら、このように仮定を置けばできます。
ですが、この計算をいくら緻密に行っても、あまり意味はありません。
なぜなら、あまりに遠い将来の予測で、仮定が多すぎるからです。
年金がいくらもらえるのかは、結局よく分からない
今現在50代の人たちの年金支給額を予測することはできます。
それほど大きな誤差なくシミュレーションできるでしょう。
ですが今回述べましたように、支給時期が今から30年や40年後になるのであるのならば、シミレーションにあまり信憑性はないと思ったほうがいいのではないでしょうか?
それよりも、大きく「生活費の足しにするぐらいの額だろう」と考えたほうが安全ではないでしょうか?
ではどうすればいいのか?それが本当の問題ですよね。
年金実質減額必至。取れる対応策は早めにとりましょう
さて、ここまで暗い話でした。
それでは埒があきませんよね。
このブログは皆さんのお役に立つ情報をお届けすると言うコンセプト。ここまでで得られた情報で、将来どうすれば良いのかを前向きに考えましょう。
政府としても、ない袖は触れません。
年金制度が崩壊しないように法改正するのがやっとなのです。
つまり、自力で生きて行ってください。政府としてはできることはやりました。と言うことなのです。
現役時代に一所懸命頑張って、65歳で年金生活というモデルはもはや崩壊しています。
できることは、あなたの年齢によって異なります。
ですが、共通して言えることは、数十年後の年金収入は、最低限の生活をする上では、全く足りない、ということです。
上記政府試算を信じるのなら、モデル世帯の場合、現在価値で夫婦二人で年間200万円程度の支給になります。
つまり、自由業であれ、給与所得者であれ、生きていくためには、考え方を変える必要があるということになります。
- それは、健康で生涯現役で、働ける間は働くという考え方。
- それに加えて、自身で資産を増やすことを考える必要があるということになります。
お金を貯めるのではありません。お金に働いてもらって、増やすという発想です。
日本では「投資」という発想が欧米に比較して遅れていると言われています。
ですが、これからの世界では「投資」は不可欠です。
自分の人生は自分で守らなければ、政府は守ってはくれません。
お金を増やす方法は数々あります。
- 株
- FX
- 不動産投資
- 金購入
- 外貨預金
- 投資信託購入
- 積み立て投資信託
- 債権購入
- iDeCo
- エンジェル投資、などなど
どれも、よく理解して実施すれば資産を増やせます。しかしリスクもあります。
リスクを考慮すると、これらの中で私がオススメするのは、積立て投資信託。
この投資方法は、始める年齢が早ければ早いほど効果が高いです。
お金が貯まった時に一気にまとまったお金で投資信託を買うのではなく、ドルコスト平均法の考え方で毎月厳選した優良な投資信託を買って行きます。
この投資方法はリスクが比較的低く、大きなリターンを期待できます。
例えば、
毎月5万円、20年間、リターン平均8%の投資信託を買い続けた場合
- 元金=1200万円
- 手取り=2945万円(税引き前)
毎月10万円、20年間、リターン平均8%の投資信託を買い続けた場合
- 元金=2400万円
- 手取り=5890万円(税引き前)
先ほど、35年後に足りないお金は6975万円と計算しました。
もしあなたが今30際なら、65歳まであと35年ありますね。
毎月6万円、35年間、リターン平均5%と控えめの投資信託を買い続けた場合
- 元金=2520万円
- 手取り=6816万円(税引き前)になります。
決して無理な計画ではないはずです。
今の生活を楽しむことは大事ですが、自分の身は、自分の家族は、自分で守るしかありありません。
投資の専門家に言わせると、年率8%のリターンは決して無茶な想定ではないとのこと。
ましてや5%であれば高い確率で達成できるでしょう。
ある程度資金が貯まれば、良質な投資不動産を買って、家賃収入とともに、売却益も期待できます。海外不動産投資も視野に入ります。
あるいは、その資金を元手に、自分で事業を起こすこともできるでしょう。
金利が低いからと諦めず、是非頑張ってあなたの人生を謳歌してください。
いやもう時間がない!すでに60歳までカウントダウンなんだよ。それなのに年金が年々減らされるのって❗️どうしたらいいんだ?
わかりますその状況。それでも、今から投資を始めてください。決して手遅れということはありません。
そして上記投資を実施すると同時に、なんとか出来るだけ現役時代を伸ばすことを考えましょう。
事前に準備をすればなんらかの仕事に就けるはずです。
可能な限り収入を増やす。これが共通したキーワードです。
年金をもらえる65歳になってもなんとか生活できるだけの稼ぎがあれば、年金支給年齢を繰り下げることができます。
1か月繰り下げるごとに、0.7%支給額が増えます。5年繰り下げると、42%増えることになります。
もう直ぐに60歳になるのでしたら、260万円程度の支給額が見込まれるでしょうか?それならば繰り下げで369万円まで増えます。^^
これぐらいであれば、その後の生活はある程度心配はなくなるのではないでしょうか?
現在の年齢によってやれること、やるべきことは違いますが、悲観する必要はありません。
人は働くことで生きがいを持てるとも言われています。
これからの時代、引退や隠居という概念がなくなるのかもしれません。
生涯現役で活き活きと働けるのならば、それはそれで幸せかもしれないですね。
それでも資産はあった方が良い!と私は思います。
引退するかどうかは個人の自由。そう言える人生にしたいですね。
投資については、当ブログでも継続して情報を上げていきますので、是非参考にしてください。
是非、あなたの人生、満喫して生きてくださいね。
このブログが少しでみあなたのお役に立ちますように。